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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』第513号2023.3.28配信

クルマの心
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□          伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』            第513号2023.3.28配信分 ●私のクルマに対する基本姿勢はどこから来ているか?  言うまでもなく、昭和と平成30年+令和5年は別の時代になる。 西暦に直すと1989年1月7日を境にそれ以前と以後で分けられる。 世界史的にもこの前後で大きな変化が訪れた。1985年には米国と覇 権を争うソビエト連邦にM.ゴルバチョフが登場。東西冷戦構造が 終結する端緒を迎え、20世紀が駆け足で過ぎ去る兆しを見せ始める。  私は日本の高度経済成長が頂点に達した1970年に18歳で運転免許 を取得。そのすぐ後にエネルギー危機(オイルショック1973年)や 自動車排出ガス規制の強化に拍車が掛かり、自動車産業は停滞する 時代に突入することになる。そしてクルマに対し猛烈な逆風が吹き 荒れる最中に、なりゆきでモーターレーシングの門を叩いた。  今になって振り返れば自明の話だが、チャレンジは足掛け4年で 敢えなく挫折する。絶妙と言うほかない間の悪さだが、そこは基本 運の良さだけでここまで来た身ということだろう。ひょんなことで 自動車雑誌の編集者に巡り逢うことになり、今に至る。  転身は26歳。今と比べたら圧倒的に情報が限られた時代であり、 その後の展望など皆無。古希70歳を超えた現状など夢想だにしなか ったが、時の流れが味方したと言うべきだろう。1980年代は日本の 自動車産業が黎明期から離陸して国際舞台に羽ばたくタイミング。 そのプロセス(なりゆき)を肌感覚で知ることができた。当然時代 の空気に呑み込まれることになったわけだが、産業と我が身がとも に発展途上段階にあったことが何よりの財産となっている。  モータリゼーションが花開いたと思う間もなく、エネルギーと環 境という現在進行形の課題に直面し、その課題克服が今につながる。 オイルショックはその名の通り『ショッキング』な出来事だった。 私はすでに自動車レースを「やる!」と決めていた。その資金を得 る『現場』(ガソリンスタンド)にいて石油危機の洗礼を受けた。  そのシュールな感覚を理解してもらえるだろうか?クルマが持つ 華やぎに身を焦がす思いの一方で、社会的バッシングの対象となる ネガティブな問題に心を痛める。さあこれからという時に清濁併せ 呑むアンビバレントな思い。最高に面白そうな気分と、社会正義に 反するという最低な評価が同時に重なる。  私のクルマに対する基本姿勢はここに始まっている。どちらかに 偏るのではなく、常に一長一短だというある種の後ろめたさがあり、 その意味で歯切れ悪くなる思いが募る。こう見えて頭が硬いのだ。 シンプルに割り切れたらいいのだが、そうならないのが私だろう。  クルマは基本的に愛すべき存在だ。だからこそ生真面目に接する 必要があると思っている。1985年に取材で訪米した際のことだった。

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  • 価値観が大きく変化しようとしている今、なすべきことは何か? このまぐまぐ!のメルマガ『クルマの心(しん)』を始めて多くのことに気づかされました。ずっとフリーランスでやって来て40年、還暦を迎えたこの段階でまだまだ学ぶことが多いですね。どうしたら自動車の明るい未来を築けるのだろうか? 悩みは尽きません。新たなCar Critic:自動車評論家のスタイルを模索しようと思っています。よろしくお付き合い下さい。
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