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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 178
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、銀泰百貨の新小売手法ついてご紹介します。
銀泰百貨は、浙江省杭州市で1998年に創業され、約30店舗を展開する百貨店チェーンです。杭州市では有名な百貨店ですが、2010年代になると業績が悪化をしてきました。どこの国でも同じですが、ECの出現や高級品に対する考え方が変化してきたことにより、時代に合わなくなっていったからです。
銀泰百貨も厳しい経営状況となり、他の百貨店と同じように業態転換を迫られていました。
銀泰百貨が選んだのは、同じ杭州市を本拠とするアリババの力を借りることでした。2014年から3回にわたって、アリババによる買収が行われ、銀泰百貨はアリババの子会社になります。
アリババはこの時、新小売戦略を打ち出していました。その新小売戦略を現実のものにしたのが新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)です。このスーパーは、新小売の考え方がビジネスとして成立することを示す実験プロジェクトでした。
そして、アリババのもうひとつの実験プロジェクトが、銀泰百貨を新小売手法を使って甦らせることです。これも大きな成果を生み出し、経営危機にあった百貨店を新小売手法で蘇られたことから、「0を1にしたのではなく、-1を1にした」と言われます。
では、銀泰百貨は具体的などのようなことを行なったのでしょうか。
今回は、銀泰百貨の新小売手法についてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 178
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▼目次▼
0を1にするのではなく、-1を1にする。新小売で蘇った百貨店「銀泰百貨」は何をしてきたのか
小米物語その97
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
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0を1にするのではなく、-1を1にする。
新小売で蘇った百貨店「銀泰百貨」は何をしてきたのか
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今回は、銀泰百貨の新小売手法についてご紹介します。
中国だけでなく、どこの国でも百貨店は厳しい状況になっています。
百貨店の業績がよかったのは、経済成長の時代です。高級品や輸入品といった非日用品の小売を百貨店がほぼ独占することができた上、消費者も豊かになり、そのような非日用品を買い求める意欲が高かったからです。珍しい物を手に入れることで豊かになったことを感じ、幸せになれた時代です。
しかし、小売業が成熟をすると、ECが登場し、ブランドは独自でECやD2Cを行うようになり、都市内や郊外にはショッピングモールが出現します。百貨店のライバルが多数出現してしまい、消費者が分散をしてしまいました。これにより、百貨店が苦しくなっています。
そのような中で、百貨店は、他の小売店よりも百貨店を選んでもらえる施策をしなければなりませんが、それがうまくいっていないというのが現状です。中には、都市の中心部にある立地にあぐらをかき、いわゆる殿様商売のままきてしまった百貨店もあります。既存の顧客ばかりを大切にして、新規顧客の獲得に不熱心な百貨店もあります。
この「いい時代の既存顧客の維持」と「新しい時代の新規顧客の獲得」の間で、百貨店の戦略は揺れ動き、やみくもに価格を下げ、品揃えを広げていった結果、都心にある価格高めのスーパーになってしまって、百貨店本来の魅力を失ってしまったところもあります。有名ブランドのショップを入居させる不動産業になってしまった百貨店もあります。
その中で成功したのがショッピングモール「北京SKP」(
https://skp-beijing.com)です。現在、ショッピングモールとしてはトップの売上を誇る高級モールです。北京SKPの前身は、台湾の新光三越百貨店が母体になって2007年に開店をした「新光天地」百貨店です。日本の三越のノウハウを台湾の新光がアレンジをし、北京でもあっという間にトップレベルの高級百貨店となりました。内装も華やかだった頃の三越を思わせる上品で落ち着いたもので、北京の富裕層で新光天地で買い物をしない人はいないほどでした。
しかし、2010年代後半から、多くの百貨店が業績を悪化させる中で、新光天地はいち早くショッピングモールに転換をします。と言っても、中に入っているショップはラグジュアリーブランドばかり。私のような一般人は、中に入るのにも気後れするほどです。2015年5月に北京SKPと名称変更をし、それ以来、富裕層向けのモールとして成功をしています。既存の富裕層をしっかりと捕まえながら、新興の若い富裕層の取り込みにも成功をしました。
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