■ネオ・メタバース
メタバースの登場は、人びとのコミュニケーションを変える。パラ
ダイムシフトのチャンスだ。優しい社会を生み出すはずだ。その特
徴をシンプルに言えば、永続性と現実世界との同期性だ。
永続性とは、リセットや一時停止が効かない世界であることだ。終
了という概念もない。現実世界との同期性とは、現実世界と同様、
すべてのユーザーが同じ時間軸で生活・体験をするということだ。
メタバースの世界で生活をしている人がログアウトしても、メタバ
ースの世界では時間が流れ続ける。久しぶりにログインしてみると
住民が増え、見たこともない建物ができて浦島太郎のようになる。
こうした現実世界とシームレスにつながるメタバースは、インター
ネットに続く次世代インフラとして世界の注目を集めている。そし
て、従来不可能とされていた、さまざまな活動が可能になるのだ。
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メタバースで可能になることは、まず「人数無制限」だ。メタバー
スの世界では誰もが、いつでも、イベント、場所、活動などを共有
することができる。
2つ目は「経済圏の存在」だ。販売、購入、投資、所有といった概
念が存在することになる。これにより、メタバースの世界で仕事が
生まれるはずだ。
3つ目は「現実世界のつながり」だ。メタバースの世界と現実世界
は切り離された存在ではない。人々の生活の一部としてゆるやかに
つながる。
4つ目は「メタバースの世界同士のつながり」だ。さまざまなメタ
バースの世界の間で、ユーザーが作成したIP、すなわち知的財
産やブランドなどが取引できるようになる。
5つ目は「UGC(User Generated Contents)の存在」だ。ユー
ザーが、能動的かつ自由にコンテンツを生み出せるようになる。そ
して、それを自由に持ち歩くことができるのだ。
★
メタバースというとバーチャル空間というイメージが一般的だ。現
実とは別の世界で、別の自分として生きていく世界だ。空間の拡張
ともいえる。だがそれはメタバースの1つの側面に過ぎない。
自分が自分のままで、現実世界の生き方すら変えることができるの
だ。そうしたメタバースの可能性には共通点がある。物理的制約を
超え、コミュニケーションの幅を広げるということだ。
メタバースの可能性を実感する上で重要なことは、バーチャル世界
と現実世界の一体化という点だ。現実世界とバーチャル世界が折り
重なる空間が存在するのだ。
そこで人間が営むコミュニケーションがある。このハブとなる部分
のことを「メタコミュニケーション」と名づける。これを1つの空
間として考える。
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バーチャル世界と現実世界を結びつける具体例として、たとえば、
インスタライブを考える。インスタライブでは、リアルタイムでコ
ミュニケーションが取れる。
たとえば、メッセージを送る、ハートマークを飛ばす、といったフ
ァンからのアクションにアーティストが反応してくれる。他のファ
ンからの反応を見れば一緒に参加している一体感も得られる。
これは、ゲームのように空想だけの世界ではない。現実に存在する
者同士が、インターネットによって結ばれる空間だ。これもメタバ
ースと言える。
まさにバーチャル空間と現実空間が一体化している状態だ。こうし
たコミュニケーションこそ、メタコミュニケーションだ。これが新
たなエンターテイメントの形を創出するはずだ。
それぞれの空間を結びつけるのは、自分を取り巻く人間とのコミュ
ニケーションだ。このコミュニケーションこそが、基本的なメタコ
ミュニケーションと言えるのだ。
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