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石川 温の「スマホ業界新聞」
2023/06/03(vol.518)
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《目次》
1.「らくらく」「arrows」のFCNTが民事再生法適用に
----安全保障上、純国産メーカーを失って将来的に大丈夫なのか
2. アメリカのスマホメーカー「Orbic」日本上陸
----日本市場をよく知るダニー・アダモポウロス社長の手腕に期待
3.政府がアップルに対してアプリストアの開放を義務づけへ
----果たして、誰がサイドローディングを実現したいのか
4.今週のリリース&ニュース
5.編集後記
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1.「らくらく」「arrows」のFCNTが民事再生法適用に
----安全保障上、純国産メーカーを失って将来的に大丈夫なのか
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2023年5月30日、FCNTが東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
Arrows Weが好調で、年初にはarrows Nを発売したが、京セラに続き、あっけなく、撤退となってしまった。
そもそも、Arrows Weが好調といっても、中国メーカーに対抗するための超低価格モデルであったため、利幅は少ないと思われる。発売当初に比べて円安基調も強くなり、追加発注をすれば赤字は避けられない可能性も高い。
結局のところ、総務省による「上限2万円割引規制」の影響をもろに受けたのではないか。総務省では同じ5月30日に上限を4万円にするという方向性を示したが、時すでに遅しなのは間違いない。
日経報道では、FCNTはキャリアなどに支援の交渉をしたようだが、けんもほろろだったようだ。キャリアとしてはFCNTの凋落なんて見て見ぬふりなのだろう。確かに競争力を失っているメーカーをいまさら助ける必要はないのかも知れない。
ただ、NTTグループ全体で考えると、本当にそれで良かったのかは疑問が残る。
2026年3月には3G停波を迎える。3Gケータイから乗り換えを促進するための日本メーカー製スマートフォンが必要なのは間違いない。シニアやキッズ向けも他メーカーがいるからこそ、競争が起き、安価に調達できるようになる。今後、「シャープ一択」では価格交渉にも限界があるのではないか。
NTTグループはいま「IOWN」に社運というかグループ運をかけている。IONWがどこまで実用化されるかは疑問ではあるが、将来的に「IOWN対応デバイス」を作ろうとしたときにどのメーカーに発注するつもりなのか。まさか、NTTグループが中国メーカーに発注するなんてあり得ないだろう。
日本政府としては、いま日本の半導体産業を復活させようと「ラピダス」に大金をつぎ込んでいるが、仮に将来的にラピダスが動き出した際、その受託製造したチップを積極的に採用するメーカーが必要になってくるのではないか。もちろん、ここでも中国メーカーにお願いするわけにもいかず、ごり押しできる日本メーカーが必要だったのではないか。
安全保障上、純国産で5Gや6Gに向けたノウハウを持っているメーカーを残していく必要があったのではないか。
半導体だけではなにも動かない。半導体を動かすためのデバイスが必要だということをなぜ、NTTグループも日本政府も理解していないのか。
それこそ、キャリアの下請けとして受注してくれるメーカーであったFCNTのような企業は、日本の通信産業に必要不可欠であったはずだ。
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