メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

【Vol.485】冷泉彰彦のプリンストン通信『アメリカは、やや落ち着いているのか?』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「アップルのメタバース宣言は賭けなのか?」  6月5日、アップル社は恒例のWWDC(開発者会議)の開会にあたって、 大きなプレゼンを行いました。そのプレゼンの中で、新型ハード、新世代の 各OSに続いて、下馬評通り、今回は、遂に「アップル版のメタバース」が 公開されています。  VisionPRO(ビジョンプロ)と命名された、新しいウェアラブルと言い ますか、ゴーグル型端末は、2024年の年初に発売。価格は3499ドル (約49万円)とかなりの強気です。  驚いたのは、アップル社は、このVR・ARマシンの環境を、ゲームなど のエンタメ端末というよりも、一種の「ヴァーチャル・オフィス」として紹 介したということです。  とにかく、ハードのスペックは猛烈で、23Mピクセルの超高精細有機デ ィスプレイ、3重レンズ、各種センサー類、ライダー、視線入力、最新のM 2オリジナルCPU、加えてR1プロセッサと、考えられることは全部入っ ているという仕様です。  ビジネス目的といっても、GOOGの迷走した「グラス」とは違って、そこ はアップルらしい「知的創造の場としてのオフィス空間」をARに移築する という提案となっています。  簡単に言えば、視野の中に大きな画面が3つとか4つ展開され、それが空 間上で指を動かすことで作動する仮想キーボード(カメラが指の動作を認 識)や、空間上でのクリックやスワイプ動作でコントロールするという考え 方です。発想自体は先行各社と大きくは変わりませんが、とにかくビジネス 需要を柱にするというのが、それも知的創造の場、ツールと位置づけたのは 興味深い動きです。  実際の使用法の例としては、1つの画面には進捗管理のアプリが、あるい はディカッションのクルップボードが、また別の画面にはドキュメントが、 そして中央にはZOOMなどのビデオ・コンフェレンス画面が置かれて「対 話の相手は等身大でそこに」展開されるというのです。  最大の謎は、ギアを被っている「自分」の画像をどう撮るのかです。これ は、このデバイスに「自画像の3D高精細イメージ」を生成するカメラと処 理ソフトが内蔵されており、これによって「動く高精細アバター(デジタル ・ペルソナ)」を立ち上げる、その上で自分の喋る言語に応じて、アバター を動かすというARアプローチで対処するとしています。  その他の、ビジネス・プロフェッショナル用途としては、 「アナトミー、つまりデジタル3Dの解剖学指導」 「空力に関する風洞実験のVRシミュレーション」 「ロボット製造ラインの動作シミュレーション」  などの実用化を進めているということでした。  一方で、エンタメ用途ということでは、ディスニーの創業100周年記念 事業として、アライアンスを強化するとしていました。また、パーソナル・ プラネタリウムの機能もアプリで展開予定ということです。(続く)

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 冷泉彰彦のプリンストン通信
  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎月 第1火曜日・第2火曜日・第3火曜日・第4火曜日