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[高野孟のTHE JOURNAL:Vol.604]米国の「裏庭」がいつの間にか中国に占拠されてしまった?

高野孟のTHE JOURNAL
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高野孟のTHE JOURNAL Vol.604 2023.6.12                  ※毎週月曜日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 《目次》 【1】《INSIDER No.1210》 米国の「裏庭」がいつの間にか中国に占拠されてしまっ た?/トランプ・バイデン両政権の外交無能の残酷な結 末 【2】《CONFAB No.570》 閑中忙話(6月4日~10日) 【3】《FLASH No.518》 実体のない「中道」という名の幽霊を追いかけて迷走す る永田町政治/日刊ゲンダイ6月8日付「永田町の裏を 読む」から転載 ■■ INSIDER No.1210 23/06/12 ■■■■■■■■■■ 米国の「裏庭」がいつの間にか中国に占拠されてしまっ た?/トランプ・バイデン両政権の外交無能の残酷な結 末 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  米バイデン政権が「民主主義国vs専制主義国」という 賞味期限切れの図式で世界を割り切り、その前者の陣営 の「盟主」として振る舞うことで過去の栄光を取り戻せ るかに錯覚していることが、世界の大迷惑であるだけで なく、残念なことに、米国自身の衰弱を早める結果とも なっている。  その米外交の残念な結果が集中的に現れているのが、 かつて米国の「裏庭」とまで呼ばれたラテン・アメリカ である。同地域の33カ国のうちカリブ海の英連邦傘下国 を含む極小国12カ国を除いた主要な主権国家21カ国を見 ると、キューバ、ニカラグア、ベネズエラ3カ国のあか らさまな反米左翼政権以外にも、9カ国が非親米的な左 派政権(注1)であり、さらに右派政権と見なされてい るグアテマラ、エルサルバドル、ウルグアイの3カ国も 非親米的。つまり、主要21カ国中、米国の言うことに従 順かと思われるのは残りの6カ国しかない(注2)とい うことになる。 (注1)メキシコ、コスタリカ、パナマ、コロンビア、 ペルー、ブラジル、ボリビア、アルゼンチン、チリ。 (注2)ベリーズ、ホンデュラス、ガイアナ、スリナ ム、エクアドル、パラグアイ。  米国に代わってこの地域で存在感を増しているのは中 国で、メキシコを除く中南米全域での貿易総額では21年 にすでに中国が2470億ドルで、米国の1740億ドルを大き く上回っており、南米だけを取ればそれ以前から中国は 米国を上回る最大の貿易相手となっている。また、2005 年から19年までの中国の中南米諸国への投資額は累計 1380億ドルで、米国を大きく上回っている。それらを反 映して、パナマ、エルサドバドル、ホンデュラスなどが 次々に台湾と断交し中国と外交関係を開いている。ホン デュラスは上掲(注2)のように、基本的には親米国と されてきたが、米国の強い制止にも関わらず23年3月に 台湾と断行し、中国と外交関係を結んだ。  米国が20世紀の延長上の惰性思考で、ラテン・アメリ カは未だに自分の「裏庭」だと思って安心し切っている うちに、そこを丁寧に耕し種を撒き草木を育て、実効支 配を広げてきたのは中国だった。これを、中国がけしか らんと言っても始まらないことで、米国が自分の傲慢故 の間抜けぶりを自省しすべきことである。 ●米州首脳会議の致命的な失敗

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