「マイナカード問題と、日本の氏名、住所がカオスな件」
マイナカードの運用がうまく行っていないようですが、コンピュータのシ
ステムというのは、Aと入力したらBを返すというようなロジックを組み立
てる中で、キチンとした「要件定義」を行う必要があるわけです。そのため
には、入力するデータをコンピュータに使いやすいようにクリーンにしてお
く必要があります。クリーンというのは、間違いがないということであり、
同時にエラーを起こさないように標準化がされていることも大事です。具体
的には様々な作業を繰り返して最終的にクリーンにして行くことになります。
今回の問題は、「そもそも入力するデータがクリーンでない」ということ
にあると思います。
そもそも名前のデータがクリーンではありません。
まず日本人の場合ですが、マイナカードに入るのは、漢字(またはカナ混
じり)の戸籍名だけです。恐ろしいことに、カタカナのフリガナも、英文ロ
ーマ字表記もありません。フリガナがないということは、銀行の口座名義人
との自動紐付けも、名寄せによるチェックもできないということです。
また英文ローマ字表記がないということは、パスポートの英文表記との照
合は不可能です。仮に、将来、日本円への不信感が増大して、日本人による
資産の海外逃避が大規模で発生し、これを全世界対象の財産税で補足するな
どという場合にも、幅広く網を張るような使い方には全く対応できません。
それ以前の問題として、現在の戸籍には名前のフリガナがないし、住民票
の場合もある自治体とない自治体があるという状況があります。
恐らく今後は、住民票にはフリガナを入れる方向で統一されると思います
が、そうなった場合に「新たにフリガナを入れる」手続きをどうするのかと
いうのは、結構難しい問題です。親の付けたキラキラネームを変えたい人、
子どもの意見を無視して宗教的な理由で妙な読み方を強制したい親なども、
出てきてトラブルに発展しそうです。
問題は、日本の場合に「成人になっても、自分の戸籍名を変更するのは簡
単でない」ということです。マイナンバーができれば、履歴が追いやすくな
るとは思うのですが、改名の履歴管理に対応できるようなデータのスペース
を取っているのか分かりません。いずれにしても、フリガナを運用するなら
するで、ピシッと対応しないとそれだけでグタグタになりそうです。
一方で外国人の場合ですが、本名と通称を併記できるようになっています。
ですが、日本語とアルファベットしか対応していないとか、通称だけではダ
メで、本名を書かねばならないので、国籍が入国管理業務とは関係ないあち
らこちらでバレてしまい、結果的に人権が脅かされる問題などがあるようで
す。それ以前の問題として、マイナカードのシステムとしては、「本名と通
称がセットで1つのコメント」という運用のようで、仮にそうなると名寄せ
サーチなどはカオスになりそうです。
住所になるともっと大変です。(つづく)
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)