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第218号 人権後進国ニッポン/昭和は遠くなりにけり/茄子/きっこの5~6分クッキング

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  • 2023/06/14
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「人権後進国ニッポン」 「同性婚が認められないのは憲法違反」だとして、福岡市や熊本市の同性カップル3組が国を相手に起こした訴訟で、福岡地裁の上田洋幸裁判長は6月8日、「憲法24条2項に違反する状態にあると言わざるを得ない」、つまり「違憲状態」との判断を下しました。これで、全国5カ所の地裁に起こされていた同様の訴訟の判決が、すべて出そろったことになります。 結果は、2021年3月の札幌地裁が「違憲」、2022年6月の大阪地裁が「合憲」、2022年11月の東京地裁が「違憲状態」、2023年5月の名古屋地裁が「違憲」、そして、今回の福岡地裁が「違憲状態」でした。同様の5件の訴訟で、「違憲」が2、「違憲状態」が2、「合憲」が1という結果ですが、唯一「合憲」と判断した大阪地裁も、頭ごなしに「合憲」と決めつけたのではありません。 大阪地裁の土井文美裁判長は、総合的な判断としては「現行の憲法の内容には違反していない」としながらも、「現行の憲法が同性婚を禁止していると解釈すべきではない。今後、社会状況の変化によっては、同性婚を認める立法措置を取らないと憲法違反になりうる」と言及したのです。 また、特に画期的だったのは、今年5月30日の名古屋地裁の判決です。名古屋地裁は、「法の下の平等」を定めた憲法14条だけでなく、「婚姻の自由」を定めた24条に違反すると判断したのです。初めて「違憲」と判断した札幌地裁では、憲法14条だけに絞って判決を下しましたが、名古屋地裁は、自民党政権が同性婚を認めないための最大の拠り所としていた憲法24条にも踏み込み、自民党の解釈を真っ向から否定したのです。 名古屋地裁の西村修裁判長は、「男女間の結婚を中核とした伝統的な家族観は唯一絶対のものではなくなり、わが国でも同性カップルに対する理解が進み、承認しようとする傾向が加速している」と述べ、さらに「同性愛者を法律上の結婚制度から排除することで、大きな格差を生じさせ、何ら手当てがなされていないことについて合理性が揺らいでいると言わざるをえず、もはや無視できない状況に至っている」として、憲法24条2項の「婚姻に関する個人の尊厳と両性の本質的平等」に違反すると判断しました。 これは、世界の先進国から見れば、極めて当たり前の判断ですが、「人権後進国」の日本としては、過去に例のない画期的な判断となりました。そして、この日本の「人権後進国」ぶりが見事に露呈されてしまったのが、5月19日から開催された「G7広島サミット」でした。 G7の7カ国のうち、フランス、ドイツ、イギリス、カナダ、アメリカの5カ国は「婚姻の平等」の下に「同性婚」を認めており、残りのイタリアも「同性婚」と同等の権利を保障した「登録パートナーシップ法」が整備されています。それどころか、フランス、ドイツ、イギリス、カナダの4カ国には「LGBT差別禁止法」があり、残りのアメリカには同等の公民権法や州法が、イタリアにも同様の「性的偏向による雇用差別禁止法」などが整備されています。 G7各国のうち、「同性婚」を認めておらず、性的マイノリティーに対する「LGBT差別禁止法」がないのは、今や日本だけなのです。日本の性的マイノリティーや支援者らは、何とか「G7広島サミット」までに、せめて「LGBT差別禁止法案」だけでも成立させようと努力しました。 しかし、旧統一教会と未だに深く癒着している自民党内の一部勢力の猛反発によって、何の罰則もない「LGBT理解増進法案」に変更されてしまった上、その「LGBT理解増進法案」ですら「G7広島サミット」には間に合いませんでした。そして、それなのに岸田文雄首相は、「同性婚」を認め「LGBT差別禁止法」を整備している日本以外の6カ国の首脳と一緒になって、次の首脳宣言を採択したのです。 「性的マイノリティーの人権と基本的自由に対するあらゆる暴力と侵害を強く非難する」 「性自認、性表現、または性的指向にかかわらず暴力や差別から解放され、生き生きとした生活を享受できる社会を実現する」 おいおいおいおいおーーーーい!「LGBTは生産性がない」などと差別発言を繰り返す議員を大臣政務官に任命し、「同性愛者が隣りに住んでいたら嫌だ」などと誹謗中傷を繰り返す閣僚を総理秘書官に任命し、自らも「同性婚など認めたら社会が変わってしまう」などとノタマッた岸田首相が、いったいどの口でこんな「心にもない宣言」を述べてんの?‥‥って話なのです。 そもそも、「性的マイノリティーの人権を侵害」して、「生き生きとした生活」を送れないようにしてるのは、すべて岸田政権であり、それは今も現在進行形で続けられているではありませんか。「核兵器禁止条約」も批准せずに「核なき世界」を宣言し、「化石燃料」に大きく依存しながら「カーボンニュートラル」を宣言するという岸田首相の「トンチンカン・パフォーマンス」も、ここに極まれりと言った感じです。

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