低体温体質へ落込んだ中国
日本と重なる「転落コース」
中国抜きのアジア発展構想
習近平氏は、国家主席3期目に入って以来、国内で「極端なシナリオ」(米中開戦)について言及するようになった。中国国内を政治的に引締める目的があるにせよ、対外的には物騒な発言である。 習氏は、すでに毛沢東に匹敵する政治的地位を得ている。毛沢東も、自らの権力を保持する手段として、たびたび国外からの脅威を取り上げた。習氏も、これに見倣ったと言えるが、もう一つの目的がある。国内経済の不調隠しである。
高まる若者の失業率が5月、20%を超えて過去最悪の事態である。国民に職場を与えることが、共産党政権にとって暗黙の「義務」としてきた。それだけに、現状は極めて憂うべき事態である。現実には、これを解決する手段がないのだ。そこで、「外敵」の存在を強調するのだろう。
習氏は、「極端なシナリオ」を強調すると同時に、中国経済が輸出を成長の原動力とすることや、西側のハイテク技術依存からの脱皮を主張している。現実に、これを実行した場合に何が起るか、だ。中国経済は、すでにグローバル化しており「封鎖経済」に耐えられない構造になっている。習氏は、この点を見落としている。
「極端なシナリオ」は、一場の「アジ演説」として見れば、聴衆から拍手喝采を浴びるであろう。だが、中国経済にとっては自殺行為になる。こういう危険な政策を堂々と発言しているところに、習氏の追い詰められた姿を見るのである。
低体温体質へ落込んだ中国
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