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【Vol.487】冷泉彰彦のプリンストン通信「『リトル・マーメイド』実写版ヒット」

冷泉彰彦のプリンストン通信
「何度でも言いたい、大阪万博成功のカギ」  2025年に開催される大阪・関西万博の入場券の価格が大人7500円 で調整しているというニュースが流れました。主催者の万博協会は、運営ス タッフの人件費や広報宣伝費、警備費などの運営費の大半を入場券収入で賄 う計画を立てているそうで、このコストが膨張したので自動的にチケット代 を値上げするそうです。  万博協会は6000~9000円の間で来場者数と想定収入を試算したと ころ、想定収入は8500円の1280億円が最高だったそうですが、来場 者数は値段が高いと減る(当然ですが)ために2727万人で、目標の28 20万人を下回ったそうです。これだけでも、頭がクラクラする話で、本当 に8500円で収入がマックスになるのなら、8500円にすればいいので すが、大阪府議会では、8000円は「高い」という意見が出て7500円 になったそうです。  しかし、7500円でも高いわけで、例えば開業直後の瀬戸大橋とか、ア クアラインのように閑古鳥になる可能性は十分にあります。博覧会としても、 沖縄海洋博よりも悲惨な大失敗となって大赤字を残す、そんなリスクも想定 しないといけません。  では、どうしたら良いのかと言うと、過去に何度も提言してきたように、 まず次の2つを実行すべきです。 (1)協賛金捻出に苦しむ国内企業ではなく、元気の良いアジア各国の企業 に大規模な形でパビリオンに出展させる。 (2)これに伴って、会場内の公用語を英語にして、この万博を契機として、 大阪を本当の意味での国際都市に模様替えする。そうすればチケットの販売 先は、インバウンド中心になり、分厚い購買力が期待できる。  更に、具体的な展示には次の2点を加えるのが良いと思います。 (3)2025年の時点で全く公表されていない最先端の「AI」「AR」 「排出ガスゼロ」を「この万博会場で初めて」体験できる形で提供。 (4)伝統文化、近未来文化、パフォーマンス・アート、食文化、造型アー トなど、日本文化の魅力が「この会場内で丸々2日間楽しめる」ような参加 型の仕掛けを提供。  とにかく「いのち輝く未来」などという抽象的な概念で、健康とか福祉を 軸に組み立てるというのは、インバウンドにも若者にもあまり訴求しないと 思います。場合によっては、会期を延期してでも、改めて「ちゃんと人が来 て、ちゃんとカネを落とす」コンセプトにして再出発すべきです。  維新の皆さんは、失敗したら官僚と代理店の責任にして逃げられると思っ ているかもしれませんが、甘いと思います。とにかく、「英語」「外資」 「最先端」「日本文化」という成功のためには重要な4つのキーワードが入 っていない中で、7500円の入場料を取るというのは、本当に止めたほう が良いと思うのです。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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