土地が歴史を動かしてきた
テクノクラート登場の背景
安全保障重視には落とし穴
「共同富裕」は実現しない
中国経済は今、大きな転換点に立たされている。土地国有制を利用した「土地本位制」(学術用語ではない)を生かし、土地売却収入を有力な地方政府の歳入手段にしてきた。それが、ついに破綻の憂き目に遭っている。膨大な「隠れ債務」(約1200兆円以上)が、置き土産になっているのだ。この処理が、中国経済の将来を左右する重大な事態を招いている。
習近平氏が、国家主席に就任した2012年以来、住宅建設が中国経済を支える最大の要因(GDPの25~30%)となり、不動産バブルは満開状態になった。これに伴う地価高騰で、地方政府が最大の受益者になった。歳入の3割前後を土地売却収入で賄えたからだ。これによってインフラ投資を行い、地方債発行の元利金にも充当することができた。まさに、地価高騰=歳入確保という形で「土地本位制」で潤ってきたのである。
地価高騰で歳入を確保できる。これが、最も安易な経済政策を行わせた。国防費の「隠れ財源」にされたことは言うまでもない。習氏が、不動産バブルに危険サインを出しながらも容認したのは、自由に使える財源の持つ魅力に勝てなかったのであろう。
土地が歴史を動かしてきた
中国は有史以来、土地政策で躓いてきた。その結果、土地の公有制と私有制を交代しながら繰り返した。公有制にすると土地が荒れ放題になる。そこで、有効活用を目指して私有制にすると、土地が一部へ集積されて不公平の原因になった。中国共産党政権でも、当初は人民公社制にして失敗した。農民の勤労意欲が高まらず結局、部分的な私有制を認めた。
このように、中国社会は土地をめぐって独特の反応をしてきた。裏返せば、4000年の農業社会の歴史が、土地への執着心を抜きがたいまでに高めたと言える。これが、土地神話を生み出し不動産バブルの火を燃えさからせた。
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