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222回 高齢者が賢い国として生き延びること

和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
さて、広末涼子さんがW不倫でボロクソに叩かれている。 いつになったら、テレビ局の正義の味方面が止まるのだろうと思うが、不倫は当事者の問題で、世の中に謝る筋合いのものではないということは確かだ。 確かに、CMに起用した会社にとっては、ブランドイメージが下がるなどの実害を被ればCM降板とか、損害賠償の請求は妥当な行動だろう。ただ、これも大々的に報じられなければ、ブランドイメージも下がらないのは確かだ。テレビ局が正義の味方面をするから不倫など、犯罪でもない行為で、金銭的な処罰まで受けることになる。 また、映画の撮影中止の話もあるが、不倫をしたところで演技がすごければ、犯罪者ではないのだから、映画を作る側の立場として、どこが悪いのかを考えてしまう。もちろん、これも最近は製作委員会形式で、スポンサーが金を出して映画を作っているので、一社でもブランドイメージが下がるから嫌だというと製作が続けられないという問題があるが。昔と違って、ブランドイメージで不買までいくことはなくても、株価に影響するからそこは責められないところはある。 役者として自由に生きたければCMなどに出るなとは思う(もちろん出なくてもマスコミはバッシングするだろうが)。実際、CMに出ているから脱げないという女優が増えている。女優を犠牲にしてでもCMを優先するということだろう。私は、こういう人は女優とは思っていない。CMタレントの副業として映画にでる人とは思うが。もちろん、自分が脱ぎたくないという意思ならば尊重しないとパワハラで、セクハラなのも確かだが、CMを理由にするのはクズだ。 当事者の問題として、不倫をされた配偶者が涙の告発などをして、それを週刊誌が載せるのならまだ話はわかる。そのくらいの権利は配偶者にはあるだろう。 でも、勝手に写真を撮って、「こいつは不倫をしています」と叩きのめすのは、そんな権利が週刊誌にあるのかと思うし、後追いでバッシングするテレビも品位を疑う。 不倫報道でいちばん傷つくのは、おそらくは子どもたちだろう。 だから、配偶者も告発をがまんすることが多いのだろう。それを暴き立てるというのが許せないし、子どもたちの心のケアはどうなるのだろうと心配になる。 何せ、日本は精神科の医局が82もあるのに、カウンセリングが専門の主任教授のいない国だ。薬で治せる病気しか治せない精神科が乱造されているが、ストレスやトラウマの多い現在社会に対応していない。そういう国だからこそ、人を傷つけることに慎重であるべきだと思う。 そんな中、広末さんの夫がイベントを開いたそうだ。そこで「自分のやっていることは売名行為です。この腐った日本の世界を変えるための、売名行為です」と言ったそうだ。 どこからどこまでが売名行為なのかは定義は難しいが、名前を売ることで利益を得るのなら売名行為と言われても仕方ない。 そういう点では、この報道でいちばん経済的利益を得たのは、テレビ局などを除けば、やはり鳥羽周作氏だろう。 広末涼子さんの不倫相手として紹介されるときには必ず人気シェフとして報じられるし、テレビで紹介されるときは、その調理姿や美しい料理が映される。 とはいえ、評価としてはミシュランでは一つ星(都内だけで149軒ある。ちなみに三ツ星は12軒)、食べログではベスト1000レベルである。まずくはないが、超一流というレベルではないだろう。 それが常に超一流シェフの扱いを受ける。ものすごい宣伝効果だ。 最近のトレンドとして、和食は予約の取れない店が続出しているが、フレンチは三ツ星クラスでさえ、予約が一か月前くらいならまず取れるようだ(クリスマスなどは除く)。最近行った一つ星のフレンチも半分も埋まっていなかった。 私の知り合いで彼の代々木上原のフレンチに行った人からの情報では高いという話だった。もちろん、勧められたことはない。福岡の店に行った人は、普通と言っていた。 彼の謝罪文でも、「今後は改めてゼロから料理に向き合いたいと思います。自分が一番世の中にできることは何かと考えましたが、やっぱり料理しかありませんでした。少しずつでも、失った信用を取り戻せるよう、努力を重ねてまいります」で事実上締めている。 最後まで宣伝だ。 こんな奴の店に行きたくないという人もいるだろうが、1000人に一人でも、この報道で行きたくなった人がいれば大儲けだ。 そういう点で、多額の賠償が求められる可能性があり、無期限謹慎にさせられた広末さんが可哀想でならないし、あの交換日記を公開したのは実は鳥羽氏でないかと疑いたくなる。

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  • 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
  • 世の中のいろいろなことにたった一つしかないと考え、それを信じ込むことは、前頭葉の老化を進め、脳に悪い。 また、それが行き詰った時に鬱になるというメンタルヘルスにも問題を生じる。 ところが日本では、テレビでもラジオでも、○○はいい、××は悪いと正解を求め、一方向性のオンパレードである。 そこで、私は、世間の人の言わない、別の考え方を提示して、考えるヒントを少しでも増やし、脳の老化予防、メンタルヘルス、頭の柔軟性を少しでもましになるように、テレビやラジオで言えない暴論も含めて、私の考える正解、私の本音を提供し続けていきたいと思う。 質問、相談、書いてほしいテーマ等、随時受付。
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