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「ワグネル反乱」、ロシアの脆弱性浮き彫り 「蜜月」中国へ重い選択迫る

勝又壽良の経済時評
  • 2023/06/29
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  ウクライナ侵攻の矛盾数々 ロシア経済に大きな衝撃波 脆弱であったプーチン政権 デリスキングに揺らぐ中国 ロシアの傭兵部隊ワグネルが、6月24日に反乱行動へ出て世界を驚かせた。ワグネル代表のプリゴジン氏は、この行動が軍事クーデタでなく「正義の行進」と称した。目的は、ロシア国防省の稚拙な軍事作戦に対する責任追及であると主張したのである。ロシア政府は、すぐに取り締る方針を決めたので、ワグネルは25日には正義の行進を取り止めると発表、「一日だけの反乱」に終わった。めまぐるしい動きであった。 6月24日は、ロシアがウクライナ侵攻を始めた2022年2月24日から、ちょうど16ヶ月目に当たる。ロシア軍は、開戦「三日で戦争終了」という当初目論見と異なって、戦線は膠着して防衛に回るという想定外の事態へ追込まれている。ロシア側に不満がたまるのは当然であろう。ワグネルは、それを掬い上げて反乱行動へ出たものと推測される。 この問題は、間違いなくロシアの弱体化を物語っている。一方、蜜月関係にある中国へ与える影響が極めて大きいことを特筆しなければならない。中国は、ロシアと連携して米国へ対抗する戦術を練ってきた。だが、ロシアは「ワグネル反乱」で弱体化が表面化し、中国は狼狽しているはずだ。ロシアを信じて、米国とその同盟国へ対抗することが、余りにもリスキーであることを認識させられたであろう。「金」と思っていたロシアが、実は「銅」以下の存在であったのだ。習氏の眼力に、大きな狂いがあったことは間違いない。 ウクライナ侵攻の矛盾数々 ロシア経済は、今回のウクライナ侵攻とこれに伴う西側諸国による経済制裁、さらにはロシアの最大の輸出品である石油需要が、脱二酸化炭素で先細り状態にある。まもなく、ロシアは経済的に行き詰まる運命だ。プーチン氏は、こういう切迫した事態の進行を正確に認識しないままに当てのない戦争を続けている。悲喜劇を演じているのだ。 プーチン氏は、ウクライナ侵攻を長引かせて行けば、いずれ西側諸国のウクライナ支援が息切れして和平へ持ち込めると踏んでいる。これが、一般的な予測である。だが、西側はウクライナ支援疲れを口に出せない「次なる問題」を抱えている。中国の台湾侵攻である。ウクライナが、ロシアの思惑通りの決着になれば、中国が必ず台湾へ侵攻するであろう。これは、中ロ枢軸に勝利をもたらす意味で、民主主義の危機になる。こういう経緯が予想されるだけに、西側はロシアの勝利を絶対に阻止しなければならない理由を抱えている。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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