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『 田中優の未来レポート 』
第286号/2023.6.30
http://www.mag2.com/m/0001363131.html
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「生殖危機」の現実(中)
こう見てくると「神経伝達物質」の効果が大きく見える。しかしもう一つの「内分泌ホルモン」の方も、ものすごく大きな影響を及ぼす。
というのはヒトの内臓同士でもたくさんのやり取りがされていて、それが各臓器の発達・成長に影響を及ぼしているからだ。これについてはNHKスペシャル、「人体 神秘の巨大ネットワーク」の中でタモリとノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授が説明している。有料だが、NHKのこの番組のシリーズは見ておいた方がいい。
これはかつてありえないと考えられていた臓器自体から「神経伝達物質」が発せられ、脳を経由せずに自律的に身体がネットワークしながら互いを動かしていることがわかる。その「神経伝達物質」は血流に乗り、教師が教室全体に聞こえるようにマイクで増幅するみたいに隅々まで伝えられる。いわば「内臓自家製のホルモン」が体全体をコントロールしているのだ。
これはかつて考えられていたように脳(脳下垂体)が一極集中型でコントロールしているのではなく、各臓器が直接かかわって指令を出している。この流れは血流に乗り、体の隅々まで指令を伝える。まるで「緊急放送」のような流れが各臓器から出されているのだ。この流れがホルモン伝達物質で、全校一斉に放送されるので隅々まで伝わっていく。この「全校一斉放送」のような血流の流れを通じて内分泌ホルモンが伝わっていく。
この放送を受け取るのが核種の受容体で、水溶性と脂溶性のホルモンがあり、ネオニコチノイドの伝わるアセチルコリン受容体に届くのは水溶性で、同じくネオニコチノイドも水溶性の物質だ。だからnAChR(ニコチン性アセチルコリン受容体)に届く。水溶性のホルモンは受容体の物質が小さくても受容体に届き、セカンドメッセンジャーを合成してから酵素を活性するので問題なく届く。
このとんでもなく大きな伝達方法の流れで、「ネオニコチノイド」が送られる。これが「内分泌ホルモンかく乱物質」としても機能してしまう。
さてここで、ネオニコチノイド農薬の概要を見ておこう。
以下は「ニコチン性アセチルコリン受容体」 競合的モジュレーター ―ネオニコチノイド系,スルホキシミン系,ブテノライド系,メソイオン系―」という論文バイエルクロップサイエンス(株)からの引用だ。
https://www.jppn.ne.jp/jpp/s_mokuji/20180314.pdf
ネオニコチノイド系の殺虫剤としては(表1)のようになっている。
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