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首相はどんなときにも衆議院を解散できるわけではい 苫米地部裁判 諸外国の場合 歴史とともに制限されていく”解散”
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今国会、永田町に“解散風“が吹き荒れた。6月13日夜、岸田文雄首相は会見で衆議院の解散の可能性に含みをもたせる。結果、永田町には憶測が飛び交い、緊張感が急速に高まる。
しかしながら、結果的には2日後の15日夜に岸田首相自らが全面否定、今回での解散はなくなった。ただ、このような動きには、
「解散権をもてあそぶような態度だ」(1)
との批判もあった。
13日夜、岸田首相は少子化対策に関する記者会見で、今国会の会期中に衆議院を解散するかを問われ、
「会期末の間近にいろいろな動きがあることは見込まれ、情勢をよく見極めたい」(2)
と語る。ただ、与党内の反応は割れた。ある自民党の幹部は、
「選挙をするには、今が一番良いタイミングだ。あとに回せば、今後何があるかわからない」(3)
と早期解散論を主張する。
しかし時期早々という声も。今、解散すると、来年秋に予定される、自民党総裁選まで1年以上もある。たとえ、解散・総選挙に勝ったとしても、党総裁選までに何かがあれば、党内政局になる懸念が。
一方で、最近になり風向きが変わった。5月下旬から6月にかけ、総理大臣秘書官を務めた首相の長男の更迭や、マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次ぎ、内閣支持率にかげりが見られた。
官邸幹部の1人は、
「総理は最後のほうまで悩んでいたように見えた」(4)
と語るも、結局は解散に踏み切ることはなかった。
目次
・首相の専権事項?
・苫米地部裁判
・諸外国の場合 歴史とともに制限されていく”解散”
・首相の専権事項?
衆議院が解散されると、
「解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない」(日本国憲法54条)
ことになっている。
一方、衆議院議員の任期は4年(同45条)と規定。解散は議員としての任期が満了する前に、議員という公的な身分を奪って元の私人、つまり「ただの人」に強制的にさせる行為であり、極めて重大な意味をもつ。
しかしながら、実際には、日本国憲法には解散権の所在や行使の要件について決定的な条文は存在しない。このことが衆議院の解散についての議論を複雑にしている。
誰が解散の権限を持っていて、どういう時に行使し得るかについて、学説もいろいろと分かれているのが現状だ。
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