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【Vol.489】冷泉彰彦のプリンストン通信『アファーマティブ・アクション違憲判決』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「日本終了のシナリオを考える」 この後、植田日銀が金融緩和の「出口」を模索した際には、最後の円高が やってくる可能性がありますが、その後はジワジワと円安が進むとします。 それがある限度を超えると、 ・化石燃料が絶望的に高額となり、製造業が全滅 ・輸入食料から国内産へのスイッチが始まり食生活が変化 ・資産家の資産逃避が顕著に ・ドル経済租界と円経済圏が治安上も分離してゆく ・外国人労働力が確保できず、むしろ日本人の出稼ぎが顕著に  といったトレンドが加速することを想定しておくべきです。  では、極端に経済力の弱くなった日本が、外国勢力に侵略されるのかとい うと、それは暴力的に土地を奪い、人を隷属させるという形は取らないと思 います。ひたすらに静かに浸透してくるというのが現実だと思います。具体 的には、 ・欧米向けのカジノが全国に林立して、日本人は従業員としてひたすら奉仕 する。また「なんちゃって日本文化ショー」の踊りなどをさせられる。 ・超富裕層向けの最低一泊2000ドル(28万)などといった温泉リゾー トが全国にできて、日本人は同じく従業員として奉仕させられる。カネがな いので、民族資本の比率は限りなくゼロ。利益も国内には還元されない。 ・人件費が安く耕作放棄地が多いので、例えば中国への輸出用の、豚肉や野 菜の栽培などがビジネスになる。但し、民族資本はオケラなので、これも投 資は中国から、従って利益も中国へ。 ・軍事的には、尖閣の実効支配喪失、先島の武装解除、ぐらいはありそう。 アメリカも台湾の問題を無血でスルーできたとすると、中国との確執にはこ だわらなくなる可能性もある。 ・気がつけば、佐世保や呉には中国艦船が常駐し、九州から中国、近畿まで に部分的には人民元経済圏が成立するかもしれない。人民元については、円 への信頼があるレベルを割り込むと、自然に浸透する可能性も濃厚。例えば 電子マネーの基軸通貨が日本円でなくなることも。 ・ただ、プライドが高く、統治のしにくい日本人については、国家主権と領 土主権を奪うことはせず、ジワジワと事実上の独立性が奪われていく可能性。 ・温暖化の問題も重要。地球規模に影響が更に深刻化していった場合に、 「原子力を忌避して化石燃料を使いまくった日本」は国際社会から制裁を加 えられるなど、外交的に非常に苦境に立つことが考えられる。また、これ以 上、豪雨災害、台風被害、超猛暑などに見舞われると、居住可能なエリアを どうしても限定せざるを得ないかもしれない。ハザードマップで、あるレベ ルに達すると保険料が高騰して「住宅が成立しない」ということ。結果的に、 コンパクトシティ化は遅まきながら成立するかもしれない。その時までには、 地方都市の地価は実勢価格が崩れて、地銀の信用力は消滅する。  私個人の役割は、ここまでダークな近未来について備えることではなく、 いかにこうした暗黒の未来を回避するか、その知恵を皆さまと考えていくこ とにあると思っています。(続く)

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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