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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』
第518号2023.6.27配信分
●昔聴いた”California dreaming"が嘘のような空模様
ロサンゼルス(LA)のスモッグがカリフォルニア州のZEV
(大気清浄法)を生んだ。1995年の新聞報道で知り、取材に取りか
かることにした。その顛末は前号に書いた通りだが、いくつか書き
漏らしがあった。
アメリカ西海岸の地を踏むのは初めてではない。1980年代前半に
は関西の某タイヤメーカーとの関わりで何度か足を運んでいたし、
1987年には日産の招きでLA(トーランスの米国日産)、サンディ
エゴのNDI(Nissan Design International=当時の呼称)、アリ
ゾナテストコース、テネシー州スマーナの米国日産製造、ワシント
ンDC……を旅している。
それまでドイツを中心に欧州を取材することが多かった。とくに
1985年のG5プラザ合意以降の円高為替環境下では、それ以前の輸
入車=舶来=高値高級と見られていたのが一転、メルセデスベンツ
やBMWといった高級ブランドが商機と捉え始めた。
実を言えば、その遙か前に”外車”といえばアメリカ車を指した。
オイルショック(第一次石油危機=1973年)を契機に大型車中心で
燃費/エミッション性能面でも消極性が目立ったことから、世界の
市場から後退を余儀なくされている。半世紀の昔話を聞かされても
共感できないと言われそうだが、現代目線で過去を判断されること
を避けたくて敢えて付記した。
で、LAの件だが、そういえば日本時間の昼過ぎ発の場合時差の
関係でLAX(ロサンゼルス国際空港)着は早朝となった。すると
着陸のアプローチ態勢となり高度を下げて行くとLAの街はスモッ
グで覆われていることが多く、上空の青い空とは対照的なモヤモヤ
した空気が漂った。
その昔”California dreaming"を聴き、青い空が代名詞とされ
た思いが強い世代としては不可解に思えたが、元凶にクルマがある
とされ、その理由を知って問題の複雑さを知った(経緯は前号参照)。
原因はその通りだし、背景についてもほぼ書いたつもりだった。
しかし、一点だけ漏れていた。午前中スモッグに覆われていた景
観が、午後になると綺麗サッパリ晴れ渡る。スモッグは気温や海水
温の影響があるのに加え、LAの街を囲むように三方を塞ぐロッキ
ーの前哨山脈が塞き止めることで発生する。午後に判で押したよう
にカラリと晴れるのは、地表が熱せられた内陸(砂漠)と海との温
度差が逆転し、陸風が大洋へと吹き抜けることで一掃されるのだ。
21世紀の今となっては笑い話として聞き流せるが、カリフォルニ
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