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日本経済凋落の真因を探る(第1回):ミスを嫌う管理型人材による守備型の体質 辻野晃一郎のアタマの中【Vol.12】

『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』  ~時代の本質を知る力を身につけよう~【Vol.12】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【今週号の目次】 1. 最近気になったニュースから    ◆ ヤフージャパンが検索エンジンをグーグルから変更か? 2. 今週のメインコラム    ◆ 日本経済凋落の真因を探る(第1回):ミスを嫌う管理型人材による守備型の体質 3. 読者からの質問に辻野晃一郎が答えます! 4. スタッフ“イギー”がつぶやく今週の辻野晃一郎 ──────────────────────── 1. 最近気になったニュースから ──────────────────────── ◆ ヤフージャパンが検索エンジンをグーグルから変更か? 7月1日、ヤフージャパンが、検索サービスを巡り米グーグルから提供されている検索エンジン技術について、他社への置き換えを検討している、というニュースに目が留まりました。グーグルとの契約は2025年3月末に切れる予定になっています。意外と知られていないかもしれませんが、ヤフージャパンの検索サービスでは、グーグルの検索エンジンを使っています。 ヤフージャパンの親会社であるZホールディングスは、今年10月に、傘下のヤフージャパン、LINE、その他二つの子会社と合併して新会社「LINEヤフー」となることを発表しています。LINEヤフーの大株主である韓国のネイバーは、韓国の検索市場で60%以上のシェアを持っています。 ネイバーは、生成AIを組み込んだ検索技術の開発を急いでおり、LINEが普及する日本などでの展開を狙っているようです。グループ内シナジーを高めることを目的に、ヤフージャパンの検索エンジンを、ネイバー製のものに置き換えることを検討するため、5月中旬頃から、社内でバケット・テスト(ABテスト)を始めたとあります。 この記事を読んで、私がグーグル在籍時代の「秘話」を思い出しましたので、今回はそのことを書きます。 私がグーグルに入社したのは2007年4月ですが、その当時、日本の検索市場ではヤフージャパンがトップで、グーグルはヤフージャパンの後塵を拝していました。シェアで10ポイント以上離されていたと思います。当時、世界の検索市場では既にグーグルが圧倒的でしたが、どうしてもグーグルがトップになれない地域が4つありました。中国、ロシア、韓国、そして日本です。中国はバイドゥ─(百度)、ロシアはヤンデックス、韓国はネイバー、日本はヤフージャパンがトップでした。 したがって、グーグル日本法人としては、検索シェアでヤフージャパンを抜くことが米国本社から課せられたミッションの一つでした。ご記憶の方もいるかもしれませんが、当時はiGoogleと呼んでいたカスタマイズ可能なトップページもあり、とにかく考え得るあらゆる手段を使って検索シェアを伸ばすことに注力しました。その効果もあって、徐々に差を縮めていき、3-4ポイント差にまでは迫ったのですが、どうしてもあと一歩というところで手詰まり感があり、ヤフージャパンのシェアを抜くことが出来ずにいました。 ちょうどその頃、経営難に陥りつつあった米国ヤフーが、――

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