【波乱のバイト生活】
「いらっしゃいませ〜」
「あい、みっちゃんじゃないか?何してる?」
「あい、あつし、ちょっといろいろあってここでバイトしてるんだよ」
そこは地元の店だったので、知り合いの客が多かった。
「お前はいつもいろいろあるな」
「あはは、今日は家族サービスか?」
「実は俺も色々あって、今日は家族会議」
そう言いながら後ろを目配せした。
後ろにはフィリピン人の女性が立っていた。
「俺の嫁なんだけどよ、ちゃっと怒ってるから」
それを聞いて何となく察した。
夫婦ケンカで、大事な話があるからわざわざカラオケハウスに2人で来たのである。
その後、トイレに行くついでにカウンターまで来て事の詳細を教えてくれた。
「毎週、野球の延長線で朝まで帰らないから怒っているわけよ」
「あぁ、あはは、相変わらず野球の延長線で飲み歩いているのか?」
みつおも一時期入っていた草野球チームで、毎週日曜日にどこかのチームと練習試合をするのだが、試合の後は決まって居酒屋で打ち上げをするのだった。
みつおは、マイケルの店のチームに入るだいぶ前に同級生の野球チームにも入っていたのだった。その時も毎週飲みに行くのが楽しみだったが、居酒屋で終わるはずもなく、カラオケを歌うという名目で若い女性がいるスナック流れるのだった。
それを奥さんがいるあつしは、野球の延長線という言い訳で通していたのだが、流石に怒って離婚騒動になっているのだった。
「ま、がんばよ」
みつおは面白半分で声をかけた。
「あい、あんたケンジにーさんの息子さんじゃないの?」
「はい、お父さんを知ってるんですか?」
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