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ビジネス知識源プレミアム(水曜刊:660円/月:税込)Vol.1353
<Vol.1353号:正刊:BRICS通貨が立ち上がる>
2023年7月12日:BRICS通貨は、IMFのSDR(特別引き出し権)のように、貿易に使う国際通貨になるだろう(金ペッグ制か?)。
8月22日以降、その概要が発表されるBRICS通貨は、ドル、ユーロ、円に対してどんな影響を及ぼすか予想する。
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著者:システムズリサーチ:吉田繁治
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新しい国際通貨(仮称:BRICS通貨)を作る動きが進んでいます。23年8月22日から24日には公式の発表がある予定です。G7より大きく、成長力が高い通貨圏が誕生します。
最初は、貿易で使う国際通貨の部分だけになるでしょう。IMFのSDR(特別引き出し権)のようなものです。SDRは現在3000億ドル(42兆円)発行され、世界の外貨準備の2.5%です。中央銀行間でやりとりされている国際通貨です。
【BRICSとは】
BRICSとは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカという経済成長率が5%以上と高い国の国債を、ゴールドマンが投資債券としてまとめるため2001年に作った用語です。先進国とされているG7(米国、日本、ドイツ、英国、カナダ、フランス、イタリア)の成長力は約2%以下と低かった。
成長力の高い国の債券(国債、社債)は、GDPの期待成長率に比例して金利が高くなる。ゼロ金利の国債は、GDPの実質成長の0%付近を、5%の国債は5%成長あたりを示します。
〔その原理〕額面100万円のゼロ%金利の10年債の、10年後の償還額は100万円です。GDPの期待成長が5%なら、10年後の100万円の現在価値は、「100÷1.05の10乗=100÷1.63≒61万円」に低下します。つまり金利0%の国債に5%の金利がついて、10年後に「時価61万円×1.05の10乗≒61×1.63=100万円」にならないと買われない。このため金利0%の10年債は、期待GDPが5%に上がると39%価格が下がって61万円になり、10年後に100万円の元本償還(61万円複利の5%がついたときの10年後)があるように、変わるのです。
以上が、GDPの期待成長と期待金利が上がったとき、既発国債の価格が下がることの原理です。
〔BRICSというグループ概念〕BRICSはGDPの期待成長率が5%くらいであり国債金利も5%と高かった。このため、ゴールドマンは、BRICSの債券をETFにして、GDPの期待成長率と金利の低い日米欧に売りました。期待成長率が2桁だったのは中国でした。インドは、中国を追っていました。
2000年代の初期はBRICSの存在は小さかった。
5%成長と2%成長が23年経つとどうなるか。
・BRICSのGDP=1.05の23乗=3.07倍
・G7のGDP =1.02の23乗=1.58倍・・・RRICSの51%
世界経済のなかの比重(重み)は2倍になり、先進国のG7は相対的に1/2に縮小したのです。ここが、BRICS通貨で考えなければならないことです。
ウクライナ戦争のあとBRICS、産油国、グローバルサウスが、通貨と経済で連合することを決めています。
〔反ドルの傾向〕BRICSの特徴は「反ドル」の傾向を秘めていたことです。ドル一辺倒の日本と根本が違う。米ドルは、経常収支と財政の構造的な赤字のため、1971年の金ドル交換停止以降、長期で下がってきたからです。
ドルの世界の通貨に対する「実効レート」では金と交換できていた1970年が155ともっとも高く、1996年には100付近と65%に下がっていました。(注)現在は120付近です(23年1月)。米国が、日本と欧州より金利を高くしていることが、ドル高の原因です。
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html
〔OPEC〕原油の世界生産を決めているのはOPECです。サウジ、イラン、クウェート、首長国連合(UAE5国)、ベネズエラ、イラン、イラク、リビア、ナイジェリア、アルジェリア、アンゴラなどが加盟しています。「BRICS通貨に参加」する意思を示しています。米国は、ウクライナ戦争からG7以外では孤立無援になったのです。
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