■人を動かす「7つの言い換え」の魔法
あらゆる場面に応用できる万能な言い換えのルールがある。相手が
動かない叱責を、相手が動く指示・指導に、説教を説得に進化させ
るのだ。これを実践すれば、人間関係は劇的に改善できる。
ルールの1つ目は「大きな言葉」を「小さな言葉」に、「抽象」を
「具体」にすることだ。部下や子どもに「響いていないな」「効果
がないな」と感じることがあるはずだ。
原因は、相手の頭の中に絵が浮かばない、大きすぎる抽象言葉を使
っているからだ。言葉の指す範囲が広すぎて、何を指すのかわから
ない抽象的、精神論的言葉を使っているのだ。
範囲を狭くして、具体的な行動や方法を示したほうが伝わるはず
だ。たとえば、子どもに「集中しなさい」と言う換わりに「スマホ
とパソコンを棚の上に置いてみようか」と言ってみる。
職場では「徹底的にやって」でなく「ここ1カ月の調査票のデータ
を、見直してくれる?」と言う。言葉を小さく、狭く、具体化すれ
ば、イメージが伝わりやすいため、行動してもらいやすくなる。
★
2つ目は「命令」を「提案」「お願い」「問いかけ」に変えるだ。
「上→下」ではなく「対等な立場」に立ち、相手を尊重するコミュ
ニケーションをする。これからのスタンダードだ。
上から目線の「命令」は、横から目線の「提案」や「お願い」「問
いかけ」に言い換えてみることだ。そうすることで、相手は動きや
すくなるものだ。
たとえば、子どもに「さっさと食べなさい」でなく「○時までに食
べ終えられるかな」と言う。職場では「やる気を出せ」でなく「な
ぜモチベーションが下がったのか教えてくれる?」と言う。
押しつけ型の命令は、相手の反抗心に火をつけて、かえってこじら
せてしまう。さらに悪いことに、子どもや部下が自ら考え、行動す
る力を奪ってしまうことにもなる。
★
3つ目は「過去」を「未来」の選択肢に変えることだ。人を動かし
たいなら、話の「時制」を未来に移し「これからの行動」を選び取
ってもらう。そのほうが効果的だ。
たとえば「同じ間違いばかりするよね」でなく「どこが難しい?
一緒に解決策を考えよう」だ。「なぜそんなことができないの」は
「問題があるなら教えてほしい。一緒にやってみよう」だ。
「過去形」は「未来形」に「糾弾」は「アクションワード」に言い
換える。人は批判的なフィードバックを受け入れない。過去の行動
や現状にフォーカスせず、将来や未来に視点を向けるのだ。
これを「フィードフォワード」という。「バック」(後ろ)ではな
く「フォワード」(前)に目を向けるのだ。過去を叱責するより、
「どんな行動が望ましいか。ダメなのか」をクリアに伝えるのだ。
「○○という行動をとってほしい」「これから○○などを学んでも
らいたい」という風に、話の時制を「未来」にワープさせる。それ
だけで、気持ちはもっと前向きになっていくはずだ。
★
ルールの4つ目は「なぜなら」を加えることだ。何かお願いをした
り、指示したりする時、「理由」を説明する。それだけで、説得力
は上がるものだ。
たとえば「遅刻しないでもらいたい」は「遅刻しないようにお願い
したい。(なぜなら)お客様に迷惑がかかってしまうからね。昨日
のお客様は大変なお怒りだったよ」というのだ。
人は「なぜならば」に弱い。心を動かされてしまう。理由は、人は
「変化に抗う生き物」だからだ。「何か新しいこと」「違うこと」
に抵抗感を覚えるのだ。
そこで「理由」を伝える。「理由」は行動を変化させる「刺激剤」
「触媒」となる。理由を説明することで、相手の承諾率がいっきに
上がることが証明されている。使わない手はないのだ。
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