「「人助け」が下手な日本人」
チャリティー機関「チャリティーズ・エイド・ファンデーション(CAF
)」は2009年から「この1ヶ月の間に、見知らぬ人を助けたか」、「こ
の1ヶ月の間に寄付をしたか」、「この1ヶ月の間にボランティアをした
か」という3つの項目について、世界の国々で行われたインタビューをベー
スに国の寛容度を採点しているそうです。
その報告書では、2020年、アメリカの市場調査のプロ集団であるギャラ
ップ社が、114カ国にわたる12万人以上を対象に電話インタビューを行
って調査したデータをベースにして分析が行われているとされています。
報道によれば、このCAFのレポートでは、日本は大差で最下位だそうで
す。まず、総合順位で最下位であるだけでなく、僅差ではなく、大差で最下
位なのだそうです。更に言えば、2018年度に行われた調査のスコアから
大きくポイントを落としているというデータも指摘されています。
これでは、まるで日本がダメな国ということになります。一部には、日本
人は顔見知りには親切だが、見知らぬ人には冷たいというカルチャーがある
とか、福祉は国の仕事であって日本人はカネを出さないとかいう「解説」が
あります。この点については、私は違うと思います。
では、日本のカルチャーだから仕方ない、これでいいということかという
と、それも違うと思います。事態は明らかに悪いのであって、何とかしない
といけません。そのためには、原因の核にあるものを確認することが大切で
す。
原因は2つあります。
1つは、現在の日本社会では「初対面の人同士がスムーズに意思疎通する
ための日本語」が壊れてしまっているという問題があります。そこには日本
語の特質が絡んでいます。
日本語は、関係性の言語であり、ロジックや情報を伝える機能に比べて関
係性を確認する機能が大量に盛り込まれています。例えば、道を歩いていて、
重い荷物を抱えて困っている人がいたとします。初対面だが、困っているの
で助けてあげようと考えたとして、一体その人にまず「どんな声掛けをする
か」という問題があります。(続く)
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