第141号「会社に申告しない残業はありかなしか？」

久米信行(裏)ゼミ「大人の学び道楽」 授業や講演では話せないこと。連載やSNSでは書けないこと 毎月第1-4 火曜日発行 vol.141 2023/07/18発行 *========*========*=======*=======* ４　大人の放課後相談室 Ｑ　会社に申告しない残業はありかなしか？ 勤めている会社は、20時完全退社をルール化していて残業は基本的に平日2時間までしかできません。 しかし、現実には自宅で作業しないと仕事が回らないので、出社前の1時間、帰宅後1時間、更に週末土日に各2時間、会社に申告せずに残業しています。 同僚たちも同様で、会社として無申告残業が常態化しています。 良いことじゃないとは分かりますが、やらないとタスクが終らないので毎日ヘトヘトになりながら働いています。 本音を言えば、土日くらいは仕事を忘れたいのですが、どんどん仕事がたまるのでそれもかないません。 このままでいいのでしょうか？ （神奈川県／36歳／男性） Ａ　社員のためにも、会社のためにも良くないので、今すぐ改革が必要です。 会社に申告しない残業というより、いわゆるサービス残業の問題ですね。 これは、もはや社員にとって良いかどうかではなく、経営者が法律を順守するか、それともしないで罰せられるかという問題になります。 商工会議所の役員会などで、経営課題としてホットな話題になっているのが残業問題＝2024年問題です。長時間の残業労働や休日出勤が常態化していた、建設業や運送業では「残業上限規制」の実施が猶予されてきましたが、2024年に法規制が実施されるのです。 参考資料： ドコモビジネス「ついに始まる建設業・運送業の2024年問題。どう備える？」 https://www.ntt.com/bizon/d/00500.html お勤めの会社の業態はわかりませんが、これまで猶予されてきた建設業や運送業でさえ法規制が始まるのです。当然ながら、これからは業種を問わず「36協定（労働基準法36条に基づく労使協定）の法定労働時間外での労働（残業）の上限規制」の順守が厳格化されることになるでしょう。 参考資料： 厚生労働省「３６協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」 https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf