メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

中国「成長の限界」、米覇権へ挑戦する無益 足下を見つめ「方向転換必要」

勝又壽良の経済時評
  • 2023/07/20
    • シェアする
米と戦えない経済構造 貧弱な個人消費が仇に 経済官僚「自信の罠」 中国は、4~6月期GDP成長率が前期比で0.8%(年率換算3.2%)になった。先進国での成長率議論では、前期比が一般的である。1~3月期は、前期比で2.2%(同9.1%)であるから、4~6月期の0.8%成長は「急減速」を意味する。 主な理由は、個人消費・住宅販売・輸出の3枚看板が「オール不振」であったことだ。個人消費は、3年間にわたる「ゼロコロナ政策」の反動増を期待されたが、4~6月期まで続かなかった。消費者は、財布の紐を緩めるどころか固く締めたのだ。これには、雇用不安が大きな影響を与えた。いつ再び、ロックダウンが起るか分らない。そういう政府への不信感が重なっている。市民は、政府に頼らず生活自衛策に出ているのであろう。 習政権は異例の3期目を迎えたが、最大の目標は米覇権への挑戦である。米国の妨害を突き破って台湾を軍事的に解放することを旗印にしている。こうした大目標を前提にすると、中国経済の現状ははなはだ心許ない状況にある。経済成長がままならない状態では、米国との軍事対決が叶わないからだ。これが、習近平氏のレゾンデートル(存在価値)に関わる重大問題になるはずだ。 習氏は、経済成長よりも最先端技術の育成に関心を持っているとされる。明らかに、米中戦争を意識している結果であろうが、この認識は間違っている。継戦能力は、経済成長に負っているからだ。 習氏はまた、「個人的名誉」に賭けても台湾開放を実現するべく、外交戦略も「戦狼外交」を基本とする対決型に変えている。これが、周辺国を初め関係国に警戒観を強めさせる逆効果を生み、中国の経済成長に影を落としている。すでに、4~6月期のGDP成長率にその影は見られる。主要国が、戦略的製品や戦略的技術の輸出を止めているからだ。中国経済が、バブル崩壊後の再建に不可欠なこれら戦略部門の供給を受けられないことは、大きな痛手にちがいない。「戦争か平和か」という習氏の選択によって、中国の将来は決まるであろう。 米と戦えない経済構造

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎週 木曜日(年末年始を除く)