CPIは1年で急減速
米中経済の吉凶はここ
米は産業保護で立直る
米国の政策金利は、昨年2月0.25%であった。現在(6月時点)は、5.25%と21倍もの引上げである。短期間での急激な利上げであり、経済成長率がマイナス状態になっても不思議はない。だが、プラス状態が続いているのだ。原動力は、個人消費が堅調であること。背景は、パンデミック下で政府による給付金が、家計を潤し余裕を持たせていることを上げなければならない。実際に、家計は現金をどの程度保有しているか。そのデータは、後で取り上げたい。ともかく、潤沢である。
中国は、パンデミック下で米国など西側諸国の取った政策と大きく違っている。
1)3年間の都市封鎖中は、個人の就業機会を著しく制限したこと。
2)都市封鎖に伴う莫大な費用は、地方政府負担となったこと。
3)政府は、家計への給付金支払いをしなかったこと。
前記の3項目と米国の取った政策には、天と地もの差があった。米国は、いち早く「ウイズコロナ」政策に転じて防疫と経済活動を両立化させたほか、家計へ現金給付して生活支援をした。この米国の余裕ある政策と比べれば、中国経済は3年間も窒息状態へ追込まれていた。これによって、経済基盤は完全に「ひび割れ」状態になったと言って間違いない。
「ひび割れ」という情緒的な表現では、真意が伝わらないであろう。中国経済は、過剰債務で身動きできない状態へ追込まれている。さらに悪いことに、習氏は国家主席3期目就任に当たり、「台湾統一」を約束している。このために、国家予算は膨大な軍事費予算に食われているはずだ。本来なら、3年間のパンデミック下の傷を癒やすべく使われなければならい予算が、人民解放軍の武器弾薬に回されているのであろう。「大砲」重視の結果、「バター」(福祉)に回す予算が少ないのだ。これが、一段と中国経済の受けた傷を悪化させている。
CPIは1年で急減速
米国は、前年比9.1%(22年6月)も上昇した消費者物価指数が、この6月には同3%上昇まで引下げられた。この間の経済成長率が、プラス状態を続けているのだ。これまで、23年にはリセッション(景気後退)が起ると予測されてきた。これも、最近は後退しつつある。5%台の政策金利でリセッションにならなければ、FRB(連邦準備制度理事会)の「名裁き」という結果になろう。早くも、パウエル氏が「歴代最高の議長」栄誉に輝くという前評判すら立っている。米国経済、強さの証明だ。
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