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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』
第520号2023.7.11配信分
●日本は『勝ち方』を知らないのかもしれない
現在の路上の風景は乱雑と言う他ない。東京を始めとする大都市
圏だけではなく、地方都市や各自治体などのどこを見渡しても美的
と感じられる眺めは希薄だ。老婆心ながら、そう思えてならない。
2021年度の国内新車販売台数は421万5826台(含軽自動車165万台
以上=37.1%)。業界団体(自販連=日本自動車販売協会連合会と
全軽自協=全国軽自動車協会連合会)の資料によれば、軽自動車が
4割近くを占めている。今世紀に入ってから続くこの傾向は、歴史
の流れの中にある事実として押さえておく必要がある。さらに付け
加えるならば、軽以外の普通小型車(登録車)でも主流は和製の枕
詞がつくミニバン系であり、これにSUVと一括りされる形態が続
き、その多くをハイブリッドが占めている。
ここに至る経緯は、それなりの当事者感覚なしには実感として得
られないだろう。そこには、まさに歴史のアヤがある。技術の進歩
だけでなく、法治国家としての法体系のあり方、それに伴う政治や
経済の移ろもある。国内市場の飽和から輸出ドライブ、貿易摩擦を
経てグローバル化へと突き進んだ果てに21世紀の現実がある。
かつて定番と考えられた3ボックス(いわゆるセダン)が斜陽に
なって久しい。もはやヒットモデルを探すのは困難で、デザイン的
には2ボックス以下の形状が路上のあたりまえになっている。たま
に見受けるスポーツカーやそれに類するクルマなどは外国車なみに
浮いて見える。
言っておくが、眼前に広がるのはあくまでも『日本特有の光景』
にすぎない。日本の常識は世界の非常識の典型で、他国の人々の暮
らしぶりは多様性に満ちている。世界に日本と同じ景色などあろう
はずもない。
日本が世界最大級の自動車生産国(2021年度2355万4886台)であ
り、技術的にも最先端を行く。グローバル生産は全地球規模の30%
(世界48ヶ国の推計は8055万台)に迫り、国外展開される対外資産
とそれが産み出す収益は莫大だ。日本の自動車メーカー8社の国内
販売は上記の通りだが、海外でその4倍以上を売り上げる。
これは動かしがたい事実であり、製造業としての存在感は圧倒的
という他ないだろう。そしてこのことが、近代文明の立役者を以て
任ずる西洋先進国のプライドを傷つけ、嫉妬の念を掻き立てている。
まったくの私見であり、限られた知見に基づく見立てだが、当たら
ずとも遠からずだろう。総人口1億2500万人ほどの極東アジアの島
国が、近代西洋文明の現代において世界的地位を占めている。
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