『オッペンハイマー』は反核映画なのか?
問題は『オッペンハイマー』です。この作品は、今をときめく超人
気監督のクリストファー・ノーランの超大作、超話題作です。ですが、本稿
の時点(米国東部時間の7月24日)では、日本での公開は決まっていませ
ん。さすがに、日本でもファンの多いノーラン監督の作品ということで、ス
トリーミングへ直行ということはないと思いますが、現時点では配給側が即
時公開に進めていないのは事実です。
日本のメインストリームの興行界というのは、伝統的に政治的関与を嫌う
体質があり、その結果として政治的な論争に巻き込まれた際に、SNS等の
コミュニケーションや、映画評の紹介などの交通整理するノウハウもないと
思います。特に洋画のメジャー配給会社はサラリーマン経営陣と金融機関が
決定権を持つ、良く言えば無色透明、悪く言えば企業全体としてはメッセー
ジ発信といった種類の活動には興味がない体質があると考えられます。
加えて、昔は総合的な文化現象も含めて「仕切って」いた広告代理店のノ
ウハウも低下しているということで、この種の、つまり原爆の開発を扱うよ
うな「面倒な映画」に関するマネジメントのノウハウは薄れていると思われ
ます。単に「右傾化したので、この種の映画が嫌われる」というような単純
な話ではないと考えます。
少なくとも、興行の側としては、8月の「2回の原爆忌と8月15日」は
避けて公開することで、論争に巻き込まれるのを避けようと考えつつ、現時
点ではアメリカなどでの本編の反響を注視しているということだと考えられ
ます。
そんな段階ということもあり、とにかく本作に関する評価をしておくこと
は重要と考えます。(続く)
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