「小松成美の伝え方の教科書 ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術」
vol.54「一流に学ぶ、成功のために必要なこととは?~葉加瀬太郎 後編~」
【今週の目次】
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1. 成美のつぶやき
└ 競泳・入江選手の挑戦
└「自分のため」なら辞めている
2. 一流に学ぶ、成功のために必要なこととは?~葉加瀬太郎 後編~
└オペラ「アイーダ」に心揺さぶられる
└芸大進学とクライズラー&カンパニーでのデビュー
└「自分の音」を探し続けた日々
└デビューのきっかけは町田の喫茶店!?
└ソロ活動のスタートとハッツレーベルの誕生
└葉加瀬流・作曲の方法とは?
└目指すゴールは設けなくていい
3. 小松成美の心に残る、あのフレーズ
4. お知らせ
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1. 成美のつぶやき
競泳・入江選手の挑戦
2023年7月14日から30日まで、『世界水泳選手権2023福岡大会』が開催されています。約200カ国・地域からおよそ2,400人が参加するこの大会は、オリンピックに次ぐスイマーたちの祭典ですね。
私は高校時代、水泳部に所属していましたので、スイマーへの思い入れは一際大きく、応援にも熱が入ってしまいます。
開幕直後に行われたアーティスティックスイミング(AS)では日本が大活躍、メダルラッシュに沸きました。音楽や他の泳者に合わせて演技を行い、技の完遂度・同時性、演技構成や芸術性・表現力、そして技の難易度を競い合う採点競技は、日本のお家芸でもあります。
デュエット・テクニカルルーティン決勝で比嘉もえ選手・安永真白選手組が金メダルを獲得。混合デュエット・テクニカルルーティン決勝では、佐藤友花選手・佐藤陽太郎選手組が、姉弟コンビで金メダルを獲得しています。
日本のASの女王である乾友紀子選手がソロ・テクニカルルーティン、ソロ・フリールーティンともに優勝し、2大会連続での2冠を果たした国を圧倒します。
そしてチームでも日本は結果を残します。アクロバティックルーティンで銅メダル、フリーで銀メダルに輝きます。
後半はいよいよ競泳陣の登場です。
リオデジャネイロオリンピック2016男子400m個人メドレー銅メダリストの瀬戸大也選手、東京オリンピック2020男子200mバタフライ銀メダリストの本多灯選手、東京オリンピック2020女子個人メドレー2冠の大橋悠依選手、日本選手権水泳競技大会バタフライと自由形で4冠の池江璃花子選手、日本選手権水泳競技大会個人メドレー2種目で優勝した16歳の成田実生選手など、日本選手の眩しいばかりの活躍が予測できます。
「自分のため」なら辞めている
中でも、私が最も注目するのがロンドンオリンピック2012男子200m背泳ぎ銀メダリストの入江陵介選手です。
最年長33歳となった入江選手は、東京オリンピック後には「引退も考えた」そうですが、8度目(それも連続です)の世界水泳に臨む理由を問われ、こう答えていました。
「自分のためならもうとうに辞めています。後輩たちから、『メダルを取りたい』という思いを聞いて、自分が彼らに伝えられるものがあれば、あるだけ伝えたいと思い、もう一度出場することを考えました」
目を閉じれば、オリンピック代表を目指し、トビウオジャパンのメンバーになった10代から20代前半の頃の入江選手の表情が浮かびます。0.1秒を競い合っているとは思えない彼の美しいフォームに、私の目は釘付けでした。
その当時の入江選手のチャレンジの軌跡をご紹介しましょう。
「他の人より早く泳ぎたい。記録を出したい。レースに勝って、日本代表のユニフォームを着たい。そう思って泳いでいたらフォームが完成していきました。美しいフォームで泳ごうとしたのではなく、無駄を削ぎ落としていった結果です」
インタビューで飄々とそう答えていたことがとても印象に起こっています。
天性の運動能力を持った入江選手は、同世代の中では抜きん出た存在でした。が、大きな壁にも阻まれて苦しんでもいました。
「僕は、速く泳げるより勝てる選手になりたいんです」
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