<ロードサイドのハイエナ>井戸実のブラックメルマガ
▼609号店
2023/07/26
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【ご挨拶】
皆様こんにちは。やっと梅雨が明けました。とはいえ今年の梅雨は熊を追って北海道にずっと滞在してたので、一度も雨に遭いませんでした。
北海道入りしたのは港区の梅雨入りが発表された6月8日。普段なら新千歳からすすきのに直行してハレ系を総ナメするんですが、今回は違います。重装備を背負いながら女満別空港にトランジットです。歩くたびにカロンカロンと音を立てる銅製のマグカップ、腰に強く結びつけられた行者にんにく、いざという時のためにリュックにギチギチに詰め込まれた「デラべっぴん」どこから見ても北の大地に降り立った熊退治のエキスパートです。
数人乗りの小さな飛行機のシートに沈み込み、放物線のような飛行区間で惰眠を貪ると眼下には草原が広がります。意を決した僕を嘲笑うかのように、地上では熊たちが熊文字で「カカッテコイ」と隊列を作って待ち受けます。攻撃力だけじゃない。卓越した組織力があることすら裏付けられる挑発に、僕の心は硬く閉ざされそうになりますが、世はまさに着陸体制。
「まってろくま」
と呟いて、インスタのモーメンツには
「くまウケる」
とだけ書きました。
ほどなく着陸、タキシング、客室ドアモード開。
誰よりも早くタラップを転がり落ち、アウトインアウトで手荷物レーンに競歩します。手荷物(デラ)を受け取り、大急ぎでバスに乗り込み、ひと息ついて目を覚ましたら札幌駅に到着です。まーじ。気を取り直してエアポート号に飛び乗って、もう一度新千歳から女満別空港を目指します。どこで間違ったのか、何が起こったのか、飛行中何度も思い返しましたが心当たりがありません。
再び着陸体制に入り、恐る恐る窓の外を見ると「アホか」と熊文字が踊ります。
ムキー!
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