台湾侵攻計画を優先
GDP統計で小細工
迫る「中所得国の罠」
無謀な米国対抗戦術
習近平・中国国家主席は、現在の経済混乱に対して大型対策を行わない腹を固めたようである。内外の論評では、財政赤字を増やしても救済しなければ後々、傷を深くするという指摘が圧倒的である。習氏は、あえてこれを退け民間の創意と資金を活用し、現下の苦難を乗り越えるという意思表示にとどまった。あたかも、景気悪化の責任が民間にあるのだから、民間が処理せよ、という感じでさえある。これで、済むであろうか。
地方政府が、管理する「融資平台」(金融と公共事業を兼務)は、約1100~1200兆円もの「隠れ債務」を抱えている。隠れ債務ゆえに政府統計には計上されない債務だ。中国GDPの半分以上を占める巨額規模である。地方政府の財政破綻は、国民生活の疲弊に直結するのだ。
民間では不動産開発企業が、不動産バブル崩壊によって膨大な債務を抱えている。有力不動産開発企業も住宅販売の不振が続けば、自力での債務返済が困難という状況に追込まれている。中央政府は、これに対して目立った救済策も取らずにいる。債務返済の時期を延ばすとか、住宅ローン規制の緩和程度である。雀の涙程度だ。
台湾侵攻計画を優先
中国共産党中央政治局は7月24日、「国内経済は新たな課題に直面しており、景気回復には紆余曲折が予想される」との認識を示しただけで終わった。一言で言えば、「お手上げ」状態であることを示したが、このような「政策放棄」に見える対応している裏には、習氏の壮大な戦略が隠されていると見なければならない。
それは、最近の米国CIA長官も証言するように、習氏が2027年の台湾軍事侵攻目標を捨てていないことだ。当面の景気悪化を忍んでも、軍備を増強して台湾侵攻が実現できる体制整備を目指しているに違いない。換言すれば、ここで大型経済対策を行う資金を取っておき、軍備増強に回す戦術である。
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