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『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』
~時代の本質を知る力を身につけよう~【Vol.15】
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【今週号の目次】
1. 気になったニュースから
◆ アマゾンの生体認証「アマゾン・ワン」
2. 今週のメインコラム
◆ 日本経済凋落の真因を探る(第4回):家電産業で何が起きたか(その3)
3. 読者の質問に答えます!
4. スタッフ“イギー”のつぶやき
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1. 気になったニュースから
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◆ アマゾンの生体認証「アマゾン・ワン」
日本では「マイナンバーカード」での迷走が続いていますが、米アマゾンは手のひらで認証する仕組みの導入を進めています。
アマゾンは、今から約3年前に、生体認証決済の仕組み、 アマゾン・ワン(Amazon One) を立ち上げ、すでにカリフォルニア州などの一部の店舗でテストしていて、20州の200店舗以上で利用可能にしています。
同社は7月21日、この仕組みを、2017年に買収した傘下の食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」の全米500以上のすべての店舗で年内に利用可能にするという計画を発表しました。
アマゾン・ワンは、手のひらのデータを登録し、アカウント情報やクレジットカード情報をひも付けるもので、顧客は手のひらを店頭のスキャナーにかざすだけで決済が行えます。
この決済を利用する顧客は、事前にアマゾン・ワンに登録を行い、手のひら情報と共に、携帯電話番号やクレジットカードあるいはデビットカードの情報を入力する必要があります。手のひらの登録は、アマゾン・ゴーやホールフーズの店舗で可能だそうです。アマゾンは、登録作業には1分も掛からないと言っています。
アマゾン・ワンは、顧客の手のひらの隆起や線、静脈パターンを読み取り、パーム・シグネチャ(手のひら署名)と呼ばれる認証データを作成します。このパーム・シグネチャは、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)上に保存され、複数のセキュリティ・コントロールと不正検知機能を有したセキュリティ・プログラムによって厳重に保護されるので、複製や盗難の心配はない、とアマゾンは言っています。ただし、データをクラウド上に保管することで、ハッカーや政府などの第三者がデータにアクセスする懸念を残すと指摘する向きもあるようですが、これはアマゾン・ワンに限った話ではありません。
アマゾンは、この手のひら認証の仕組みを、アルコール販売での年齢確認、オフィスビルやイベント会場での入退出管理などにも順次応用を拡大していく計画とのことです。
アップルは、iPhoneで顔認証を実用化していますが、今回紹介したアマゾンの手のひら認証など、すでに海外では生体認証が主流になる流れです。インドでも、国民IDシステムとして、「アドハー(Aadhaar)」という指紋認証、顔認証、虹彩認証を組み合わせた生体認証システムが広く浸透しています。アドハーに登録すると、――
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