■「本音で話せる職場」は価値観の共有で生まれる
心理的安全性とは、職場で何を言っても否定されない、安心して発
言できる状態のことだ。誰もが本音で話せれば、社内のコミュニケ
ーションは活性化し、業績にもプラスに働く。
心理的安全性は、お互いの手の内を知ることで担保される。相手が
どんな発言をするか、どんな反応するかを予測できるから、安心し
て仕事が進められるのだ。
もう一つの要素は価値観の共有だ。「これを言ったら、上司にいじ
められる」「出世コースから外される」というリスクがあれば、誰
も本音で語らない。
本音で語れないのは、相手を知らないし、どんな価値観を持つかが
わからないからだ。相手の手の内を知り、価値観が共有できれば、
何を話しても大丈夫になり、どんな社員も本音で話すようになる。
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最近は、仕事は仕事、プライベートはプライベートで切り分けたが
る人が多い。上司も、パワハラやセクハラを恐れて、部下のプライ
ベートに踏み込むことを躊躇する。
だが、部下に配慮してプライベートに踏み込まない発想は間違って
いる。たとえば、親が子どものプライベートに無関心では、子ども
が病気になろうが、お金に困ろうが助けることができない。
大家族主義の会社も同じだ。上司が部下の最小限の個人情報に踏み
込まなければ、部下に何かあった時に助けることができない。ある
いは手遅れになる。
重要なポイントは、一度「助ける」と決めたら、徹底的に関わるこ
とだ。中途半端に手を出すのはだめだ。かえって部下の迷惑になる
だけだ。
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離職率が高い会社には共通点がある。「社長が懇親会でダラダラ語
る」「向上心がない社員が多い」「社員がいつもイライラしてい
る」「社員が会社に不信感を持っている」などだ。
さらに「頑張れば出世できる仕組みがない」「出勤しても挨拶すら
しない」「見るからにダラダラしていて活気がない」「会社の仕組
みを知らず不満になる」といった共通点もある。
離職率が高い会社は、根本的には「目標」がないのだ。チームで一
つの目標に向かっている時、人は仕事を辞めようとは思わないもの
だ。みんなが全力で頑張からだ。
つまり、常に目標を持って取り組める環境を作っておけば、必然的
に離職率は下がるのだ。本音で語れる環境を作ると同時に、目標を
共有できる職場にすることが大事だ。
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会社への帰属意識や愛社精神を持たない社員が増えている。愛社精
神がなければ、当然離職率も高くなる。理由は、社内のコミュニケ
ーションが少ないからだ。
「お互いに干渉されたくない」などで、社員同士、社員と社長、上
司と部下のコミュニケーションを極力避けようとする。これでは、
帰属意識を持つことはできず、愛社精神も芽生えない。
コミュニケーションを密にするには、たとえば部下が困っている
時、上司や世話役が、すぐに飲みに連れ出し、話を聞く機会を作る
ことだ。
そして、飲み会では自分が話すのでなく、聞くことに徹すると心が
ることだ。話を聞き、質問されたことは全部答える。そうすること
で密なコミュニケーションを図ることができる。
さらに、採用の時点から帰属意識を強く意識することだ。有名大学
卒の優秀な人材を採ることにこだわる会社が多い。だが、優秀な社
員より、在籍社員と合うかどうかが重要だ。
志望者の特性や価値観、行動パターンを把握し、自社の風土に溶け
込めそうな人だけを採用すべきだ。愛社精神は、自然に生まれるも
のではない。愛社精神が芽生えるための仕組みが必要なのだ。
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