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はじめに
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厚生労働省の中央最低賃金審議会が、2023年度の最低賃金を、全国平均で時給1000円台とする方向で最終調整に入る。現在の全国平均は時給961円であり(1)、実現すれば過去最大の引き上げ幅となる。
世界的なインフレ傾向や、円安による物価高騰に加え、春闘の賃上げ結果が考慮された形だ。
最低賃金は、使用者が支払わなければならない賃金の最低額であり、年に1回、改定される(2)。また、労働者の地域ごとの生活費、賃金、企業の支払い能力が考慮される。
全国平均時給が1000円台になると、引き上げ率は約4%となる。コロナ禍だった2020年度を除くと、近年は前年度費で約3%の上昇がつづく。一方、これまでに協議では、労働者側が「最低賃金で働く労働者の生活は苦しい」(3)として、最も低い時給853円の10県については47円増を求めるなど、大幅な引き上げを求めていた。
他方、使用者側は、引き上げの必要性を認めつつも、物価高に苦しむ企業の支払い能力を考慮するよう訴える。
今月26日に開かれた小委員会は約9時間に及んだものの、労使の考えや希望額に隔たりがあり、合意とはならなかった(4)。
最低賃金をめぐっては、政府が6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」により、
「今年は時給1000円を達成できることを含め議論を行う」(5)
と明記していた。
しかしながら、それでも日本の最低賃金は世界と比べも低いまま。厚生労働省「諸外国の最低賃金の状況・報告書について」によると、世界の最低賃金は、オーストラリア(約1984円)、イギリス(約1442円)、ドイツ(約1425円)、フランス(約1398円)、アメリカ(約966円)、韓国(約940)円とつづく。
また、アメリカの最低賃金7.25米ドル(約966円)は一見して日本と同水準にみええるものの、実際は州や都市別に最低賃金が定められており、実効最低賃金は11.80米ドル(約1572円)。チップ文化が浸透している背景もあり、単純比較はできない。
いずれにしろ、”日本一人負け”がつづく。
(1) 西日本新聞「最低賃金全国平均1000円台へ」2023年7月28日付朝刊、1項
(2) 宇多川はるか・奥山はるな「最低賃金、初の全国平均1000円台へ 28日決着 物価高考慮」毎日新聞、2023年7月27日付朝刊、1項
(3) 西日本新聞、2023年7月28日
(4) 西日本新聞、2023年7月28日
(5) 西日本新聞、2023年7月28日
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河井元法相買収事件、特捜検事 供述誘導の疑い 「黒い司法」 日本で冤罪が生まれるメカニズム シャラップ!事件
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河井克行元法相(60)が公選法違反罪で実刑となった2019年の参院選広島選挙区でおきた買収事件で、東京地検特捜部の検事が、元法相から現金を受領した被買収側として任意聴取した元広島市議に対し、不起訴を示唆したうえで、現金は買収目的だったと認めさせるかのようなやりとりが、録音データに残っていたことが21日、分かった。
最高検は録音の内容をすでに把握(1)。元法相の立件のために、自らに有利な供述を誘導した疑いがあり、今後、問題がなかったかどうか調査するという。
元市議の弁護人である田上剛弁護士が21日、広島市内で記者会見し、
検事が、
「全面的に認めて、反省していることを出してもらい、不起訴であったり、なるべく軽い処分というふうにしたい」(2)
と発言し、利益誘導を示唆したと明らかに。
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