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韓国「サムスン依存の限界」、GDP10位圏脱落 自己過信で改革忌避の「結末」

勝又壽良の経済時評
  • 2023/07/31
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サムスン独峰の「悲劇」 歴史的に技術軽視の咎め 「10年一日のごとく」 公営企業は既得権益の巣 韓国経済は、サムスン依存の「一本足打法」である。一本足打法の元祖は、王貞治氏が現役時代に成し遂げた「最多ホームラン数」の偉業によって有名だ。経済では、一企業の業績に依存することがどれだけ危険であるかを示している。それは、サムスンの業績低下が韓国GDPのランクを押下げに影響するからだ。 韓国の名目GDPは2022年、それまでの世界ランキング10位から13位へ後退した。主因は、半導体輸出の不振であった。これが、ウォン安を招きランキングを落とすことになったのだ。韓国は、2020~21年と連続で世界10位だった。それが、22年には3段階も後退して13位へ。代わって、天然資源大国であるロシア、ブラジル、豪州が上位へ進出した。韓国内外の経済環境から見て、再び「トップ10」入りできるかどうか、予測は困難である。 半導体とスマホは、サムスンの力で世界シェア1位である。だが、いずれも汎用品という悩みを抱えている。独自技術を持たない限界を露呈しているのだ。この結果、半導体では台湾のTSMC、スマホでは米国のアップルがいずれも高収益を上げて、サムスンを引離している。この状況は、改善されるどころかさらに引離されようとしている。サムスンにも韓国にも頭の痛い問題になった。 韓国社会の欠陥は、度を外れた自己過信にある。自分が、あるいは韓国が絶対正しいとする信念を曲げないことだ。これが、国内の政治的対立を先鋭化させ、対日関係ではのっぴきならぬ不信感を表面化させてきた。この傾向は特に、左派に強烈である。左派が政権の座につけば、経済も外交も後退する。韓国GDPが、世界10位圏から脱落したことはこれと無縁でない。 韓国メディアは、前記のような事情を理解せずに「韓国GDP10位」を自画自賛してきた。先進国入りしたという感覚で、次は「G8入り」と夢を膨らませ、返す刀で「日本を追い抜く」とまで豪語するほどだった。GDP10位への復帰には、韓国全体が危機感を持ち無益な左右両派の対立を止め、国内改革に全力を挙げることが前提であろう。現状を見ている限り、その可能性はゼロである。 サムスン独峰の「悲劇」

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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