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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 188
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、子ども用スマートウォッチ「小天才」についてご紹介します。
幼い子どもにスマートフォンを持たせるかどうかは、親の大きな悩みのひとつになっています。デジタルとAIは、これから人生を生きる上での基本スキルであることは明らかなので、早いうちから触れさせてあげたいという気持ちがある一方、デバイスを自由に使わせることで、おかしな大人とつながって事件や犯罪に巻き込まれたりしないか、あるいはゲームに夢中になりすぎて、身体や精神の健康を損なってしまうことにならないのかという心配もあります。
そこは中国も同じで、ここに子ども用スマートウォッチのニーズがあります。最も売れている「小天才」は、SIMが内蔵されており、家族や友人と電話、メッセージ、ビデオ通話などをすることができます。また、GPSや北斗などの衛星測位にも対応をしているため、保護者は子どもの居場所をリアルタイムで知ることができます。
小天才にはSNSの機能もありますが、Bluetoothを利用して、対面した人とでなければつながることができない「閉じたSNS」になっています。
この友だち同士でつながるポーズがかっこいいのです。二人でスマートウォッチを並べて、腕を高々とあげるというものです。腕をあげることに意味はないのですが、子ども心をくすぐるうまいギミックになっています。
小天才がヒットをしたのは、このように子ども心に訴えるギミックが優れていて、なおかつ親の目線からは「スマホに触れさせなくて済む」「閉じたSNS」「いつでも子どもと連絡がつく」という安心材料が用意されています。
この子どものニーズと親のニーズを両立させていることが小天才の人気の秘密です。
小天才がこのような賢い商品設計とマーケティングができたのは、歩歩高(ブーブーガオ)の系列の企業であるということが大きな理由になっています。歩歩高はファミコン互換機「小覇王」を発売して大成功した企業です。この歩歩高からは、小天才だけでなく、スマホメーカーのOPPO、vivoも生まれています。
今回は、小天才の賢い商品設計についてご紹介し、それから歩歩高とその流れを組む企業=歩歩高系企業についてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 188
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▼目次▼
子ども用スマートウォッチ「小天才」の強み。OPPO、vivoなどの歩歩高系とは何か
小米物語その108
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
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子ども用スマートウォッチ「小天才」の強み。
OPPO、vivoなどの歩歩高系とは何か
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今回は、子ども用のスマートウオッチ「小天才」についてご紹介します。
読者の中には、小さなお子さんがいらっしゃる方もいるかと思います。その親の悩みとして、「何歳からスマートフォンを使わせればいいのか?」という問題があります。今の時代、スマホは仕事の上でも生活の上でも必須のツールになっています。それを考えれば、早いうちから使わせて、慣れさせたほうがいいということになります。
しかし、スマホにはデメリットもあります。いちばん大きいのは、SNSなどで未知の人とつながることにより、犯罪や事故に巻き込まれないかという心配です。また、SNSのリテラシーがない段階で使い、悪気はなくてもSNSいじめをしたり、あるいはされたりということも心配です。さらに、小さいうちからディスプレイを使わせると目の健康によくないのではないかという不安もあります。ゲームに夢中になって、生活を乱してしまわないかという心配もあります。
では、世間では何歳ぐらいからスマホを使わせているのでしょうか。「令和4年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(内閣府、
https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/net-jittai_list.html)にデータが出ています。
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