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COPD

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室203.2023.8.6. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** COPD  さて、今まで何度かとりあげたことはありますが、皆さんはCOPDと言う病気をご存知でしょうか。簡単に言ってしまうと、「タバコによって起こってくる怖い病気」です。人間若いうちは大丈夫です。タバコをどれだけ吸っていても、息切れ、咳、痰は感じないかもしれません。しかしながら、50台後半から60歳にかけて、なんとなく息切れするような症状や、咳、痰が絡むなどの症状が出現し、70歳になると息切れが強くなり、さらに放置すると酸素が必要になるような病気です。  典型的な患者さんでは、CTを撮影すると、肺に多数の穴が空き、肺がパンパンに膨らんだような状況で、そのような状況のことを肺気腫と言います。肺気腫と慢性気管支炎を合わせたものがCOPDですが、特に日本においては、慢性気管支炎型のCOPDよりも肺気腫型のCOPDの方が圧倒的に多い状況です。40歳台、50歳台でもたまに重度の肺気腫がある方を見かけますが、尋ねてみると、そのような方はおしなべて中学生時代(場合によっては小学生の頃)から喫煙を始めた方です。成長期に喫煙すると、大人になってから喫煙するよりもダメージが大きくなります。  さて、このCOPD、患者さんは喫煙者が男性に多いこともあって、圧倒的に男性が多いわけですが、COPDで無くなる方の平均寿命は82歳と、男性の平均寿命80歳よりも長い統計が出ています。そう考えると、COPDは怖い病気ではないような印象を受ける方も多いかもしれませんが、そうではないわけです。COPDの方はCOPDで亡くなる前に、心疾患や肺癌などで亡くなる方が多いわけです。そして、どうにか、心疾患や肺癌にならずにすんだとしても、平均寿命より長い間、息切れ、咳、痰で苦しみ、そして最後には呼吸不全で亡くなると言う、考えてみただけで憂鬱な人生が待っています。  COPDの患者さんが亡くなるきっかけは、「COPDの増悪」であることが、圧倒的に多いです。COPDの患者さんは、いつも症状が一定ではありません。息切れ、咳、痰、呼吸困難の程度などは、日によって変動し、調子が良い日も、逆に悪い日もあります。さて、症状の変動が、通常の状態を超えて悪くなる、例えば「痰が黄色になって、咳が止まらない」、とか、「呼吸困難のために夜も眠れない」とか、そう言う状況のことを「増悪」と言うわけです。増悪が重度ですと入院が必要になりますし、運良く回復したとしても、元の呼吸機能には戻らず、ダメージを残すことが多いわけです。  増悪を来すと呼吸不全が進行するだけではありません。増悪を来すと、しばらくの間(概ね3月位)は、心筋梗塞、脳血管障害、心不全などで命を落とす確率が極めて高くなると言われています。しかも、この増悪、一度起こすと何度も起こしやすくなるのが特徴で、従ってCOPD治療の目標の一つは、この増悪を減らすことになります。  COPD薬物療法の中心は、吸入薬ですが、それぞれの患者さんに応じた適切な吸入薬を使用すると、症状を改善させるだけではなく、この増悪をも減らすことが可能です。喫煙歴が長い方は、まず禁煙する、そして咳、痰、息切れなど症状があれば、主治医と相談して、適切な吸入薬を処方してもらうことが大切です。 ***************************** ドクター畑地の診察室203.2023.8.6号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 次号は2023.8.13.です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください! ◆2023年07月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2023/07 2023/07/30 猛暑 2023/07/23 COVID19で人口は減るのか

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