久米信行(裏)ゼミ「大人の学び道楽」
授業や講演では話せないこと。連載やSNSでは書けないこと
毎月第1-4 火曜日発行 vol.144 2023/08/08発行
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キメラとは神話上の合成獣?想像力の賜物?それとも女性?
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2. 大人のミュージアム&庭園
三沢厚彦氏が造物主となったキメラたち。
みなさんはキメラという言葉をご存じですか?
Wikipediaによれば、キメラの語源たるキマイラは、「ギリシア神話に登場する怪物」で「ライオンの頭と山羊の胴体、蛇(または竜)の尻尾を持ち、口からは火炎を吐く」とされています。
さて、千葉市美術館で、夏休み期間中9月10日まで開催されている「三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions」展の主役も実はキメラなのです。
21世紀に入り、木彫による具象彫刻、さらには現代アートの分野を牽引してきた三沢は、近年では空想上の生き物である麒麟やキメラといった複数の動物のイメージを組み合わせる表現に発展し、大型の木彫を精力的に制作しています。時空を軽やかに飛び越え、現代の私たちの前にあらわれるキメラたちは、その眼差しでいまの世界を見つめ、何を語るのでしょうか。会期中には、作家の滞在制作も予定されています。三沢のキメラ的思想によって、生が吹き込まれていく本展をぜひお楽しみ下さい。
キメラのことを考えていると、多次元の存在を感じる瞬間がありそうだ。
――三沢厚彦
まずはチケット売り場の壁に掲げられたキメラの絵をご覧ください。
どうやら顔も胴体もシロヒョウですが、なぜかライオンのようなタテガミがあり、額の上には二本の角があるのです。天使のような翼を持ち、尻尾は伝説通り、蛇になっています。
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