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中国経済「沈没」、深まる矛盾に出口なし 日中株価すでに「大逆転」

勝又壽良の経済時評
  • 2023/08/10
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国家は個人の所有物でない 場当たり主義で政策を決定 禁句の「デフレ」末期現象 好対照の「日中大逆転」へ 中国の経済政策が、迷走している。相反することを卒然と行っているからだ。これは、最高政策決定者が習近平氏に限られている結果、習氏自身の判断に迷いが起っているのであろう。従来の「集団合議制」であれば、こうした矛盾は起らなかったと見られる。 習氏の最大目標は、自身の終身国家主席を全うすることにある。そのためには、台湾問題の解決は不可欠である。となれば、軍事拡大は絶対条件になる。国内経済は、これに資するように組み替えることだ。国防産業強化のために製造業を充実させる。第三次産業は、「従」という立場へ格下げする。習氏は、こういう青写真を描いて、台湾に赤旗が掲げられる日を待ち望んでいるに違いない。 これは、習氏にとって最も幸福な構図だが、経済発展という普遍的な流れから言えば、経済成長を止める最悪な見取り図である。杓子定規的に言うと、人類の経済発展は第一次産業→第二次産業→第三次産業という流れの中で付加価値を高めてきた。中国経済もこの流れの中にある。習氏は、第三次産業の発展を抑制して、第二次産業強化へエネルギーを振り向けたいと考えているのだ。だが、中国社会では大卒者の増加とともに、第三次産業への就職希望が増えている。ここに、大きな食い違いを生じている。 中国の若者失業率の現実は、50%を超えるという推計値が出るほど悪化している。これは、習氏が第三次産業を抑制したことが理由だ。習氏の個人的な願望と、若者の職業意識は真逆になっている。習氏はこのことに気づかす、大学入試問題で「習近平思想」について出題している。若者が、どんな思いでこの問題へ回答しているか。習氏には、その心情すら理解できないであろう。習氏の第三次産業「軽視」は、中国経済の回復に大きなブレーキになっている。7月の消費者物価指数が、ついにマイナスへ落ち込んだのだ。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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