財政は政治家の財布ではない
日本の政府債務をグロスで見るか、資産を差し引いたネットで見るかでその評価は分かれます。グロスの債務は1500兆円を超え、GDPの2倍を優に超えますが、資産900兆円余りを差し引けばGDPをやや超える程度で、欧米並みとなります。市場の失敗、弱者救済に財政は必要です。経済に需要不足があれば、財政需要の追加も正当化されます。
しかし、その規律のなさが展望の開けない財政危機の不安を強めているのも事実です。先に債務上限問題で市場を脅かした米国よりも、むしろ日本のほうが規律のなさという点では深刻な状況にあります。
「景気調節機能が低下」
社会保障、道路建設など市場機能に任せられない分野に財政出動が必要なことは論を待ちませんが、これまで大きな柱となってきたケインズ主義的な財政による景気調節機能は低下してきました。経済が成熟して道路やインフラ整備による公共事業の呼び水効果が低下したこともあります。近年はむしろ景気対策には金のかからない金融政策に委ねる面が世界的に高まりました。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)