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渡辺勝幸の日本一元気になるメールマガジン
第4714号 令和5年8月11日(金)発行
発行部数 11,450 部
【保身ではなく浪人たれ】
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【保身ではなく浪人たれ】
なおわたくし(渡辺註:吉田松陰)は、
本章に基づいて一つの意見を立てています。
癸丑・甲寅の変、ペルリ、プチャーチンの来航による混乱の時、
わたくしは同志の人々と、国家・天下を憂えて、
ともに次のように論じました。
「『大学』にいう、身を修めて後に家を斉え、その後に国を治め、
その後に天下が平らかになるということばは、不変の論ではあるが、
しかしこれは平常太平の時のことであって、非常危機の処置を論じたものではない。
さらに今日のわが国の状態は、諸藩が互いにその領土を維持しあっているという、
封建の姿であるから、天下の正論有志の人物と相謀り、
上は諸侯から、下は大夫・士・庶に至るまで、
国中が一致団結して心力を合せ、ともに幕府を諫め、朝廷を戴き、
外敵の侵攻を打払うことが当然の道である。
そしてこのことこそ、自他を完成し、身を修め家を斉え、
国を治め天下を平らかにするという問題が、すべて同時に実行せられる工夫であり、
今日、まずなさねばならぬ任務である」
と。
わたくしは、このように考えて、その実現のために東奔西走、
一日も安んずることがなかったところ、
天下には、わたくしと同意見の人物も少なからぬことを知ったのでした。
しかるに、遺憾にも、俗論の人々、
それぞれこの意見を抑えていう、
「自分の国さえも治まらぬのに、
どうして天下の諸藩と相談することができようか。
どうして幕府を諫められようか。
どうして朝廷を戴こうか。
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