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ビッグモーター事件 損保側にも問題が 遅れた国の対応 内部告発制度の不備も
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中古車販売大手ビッグモーターについてのメディア報道が、一向に収まる気配がない。ビッグモーターの売上高は7000億円であり、業界最大手を誇る。その企業が危機に瀕している。
客から預かった車両を傷付け、保険金を水増し請求するという手口は、ビッグモーターの”異常な”企業風土により生み出されたという。
その企業風土は、2017年~18年ごろ、創業者に兼重宏行社長の息子の宏一氏が副社長として実権を握るようになったころに生まれる。
”利益至上主義”が徹底され始めたのも、この時期であったという。
特に環境整備点検と呼ばれる幹部らによる店舗視察は、各店舗を点数化し、その成績次第で、従業員のボーナスを決める制度であるとともに、社内の力関係が如実に表れるものだった。
このような制度が、さらに利益至上主義の文化を強める。
問題は、ビッグモーターの雇用環境にもあったようだ。
<社員数は約5000名ですが、その陰にはおよそ4万人近い退職者の存在があります。数字を残せる人だけが残っていきます。生命保険会社も似たような仕組みですよね。
ある程度、誰でも入社でき、自分や家族、友人を生命保険に加入させて、それ以上契約を取れなくなったら自然に辞め、数字を残せる人だけが残っていく…。>(1)
大量に採用して大量に辞めさせるのは、高い車を買わせて120回ローン(10年間)を組ませ、ビッグモーターが扱う任意保険に入らせるためだったというのだ。
業務成績を上げて店長に昇格しても、今度は怒涛の”鬼LINE”が待っている。店長などはいくつものLINEグループに参加しており、休日や昼夜問わずに1日に2000件ものLINEが来るという。
またビッグモーターでは、業務連絡だけでなく、降格や異動の言い渡し、さらにはミスに対する注意や叱責までもがLINE上で行われていた。
目次
・損保側にも問題が 寡占による”もたれ合い”
・遅れた国の対応
・内部告発制度の不備も
・損保側にも問題が 寡占による”もたれ合い”
ビッグモーターをめぐる一連の騒動では、損保ジャパンの不可解な動きも伝えられている。そもそもの騒動の発端は、顧客の車にわざと傷をつけるなどし、損害保険会社に不適切な保険金請求を行っていたことだった。
しかしながら、「保険金の不正請求」の問題についていえば、ビッグモーターが単独で実行したとは考えにくいとも(2)。要は、単独ではなく他社の協力、もしくは共謀がなければ成立しえない事例だったという。
ビッグモーターは、損害保険ジャパン(損保ジャパン)、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の大手3社に修理費を水増しする不適切な請求を行っていた。
その中でも、損保ジャパンは、かつて前社長の兼重宏行氏に次ぐ第二株主であったし、2011年以降も37人もの社員を出向させていた。
また、
「損保からビッグモーターの板金工場に入庫誘導した件数に応じて自賠責保険を使ってもらえる密約がありました。入庫1件につき自賠責5件です。損保によっては7件の場合もありました」(3)
というように、修理の斡旋1件につく5台分の自賠責保険契約を回すという、ビッグモーターと損害保険会社との密約関係があったことも分かっている。
このような密約のために損保ジャパンは、顧客を積極的にビッグモーターへと斡旋し、不適切な請求をスルーしていた疑いも否定できない。
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