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高野孟のTHE JOURNAL Vol.613 2023.8.14
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1219》
混乱の極致に達したバイデン政権の外交政策/大統領の
認知機能の衰えも心配
【2】《CONFAB No.579》
閑中忙話(8月6日~12日)
【3】《FLASH No.527》
公開2週間で興収4億ドルを突破 映画「オッペンハイマ
ー」で描かれていない深層/日刊ゲンダイ8月10日付
「永田町の裏を読む」から転載
■■INSIDER No.1219 23/08/14 ■■■■■■■■■■
混乱の極致に達したバイデン政権の外交政策/大統領の
認知機能の衰えも心配
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バイデン米大統領は8月10日、ユタ州での政治資金集
め集会での演説で、中国経済が失速状態に陥っていて
「すでにタイマーのスイッチが入った時限爆弾
(ticking time bomb)」だとその破綻の切迫性を指摘
し、「悪い連中(bad folks)が問題を抱えていると悪
いことをする(do bad things)」と述べた。
バイデンは、去る6月20日のカリフォルニア州での同
様の集会でも、ブリンケン国務長官が初めて北京を訪れ
てその前日には習近平主席と会談したばかりであるとい
うのに習を「独裁者」と呼び、しかも、独裁者であるに
も関わらず自国の偵察気球が米国上空に入り込み撃墜さ
れる羽目になることを掌握できていなかったのは独裁者
として落第であるかの趣旨のジョーク(?)を飛ばして嘲
笑の対象とした。
●バイデンに認知機能の衰え?
こういう物言いは、普通の人同士の会話の中であった
としてもかなり品がなく、失礼に当たるだろう。まして
や一国の大統領が他国の最高指導者を批評する表現とし
ては、粗雑を通り越して幼稚で、この一事を見ても、自
分の立場を客観的にわきまえて常にそれに相応しい言動
をすると言う彼の認知機能に、衰えが出始めていること
は明らかである。
この8月10日の発言について問われたホワイトハウス
のカービー連絡広報調整官は、「中国の国内問題が対外
的な行動に影響を及ぼすことへの懸念を示したものだ」
と、幼児的な言い方を大人の言葉に変換して見せたが、
それにしても、中国経済が爆発的な破局に向かってカウ
ントダウンに入っているという判断は全くの誤りであ
り、中国がそのような国内的な危機を抱えているが故に
対外的に挑戦的な行動に出る懸念が増しているという判
断も全くの偽りである。話は逆で、こういう戯言を撒き
散らす人物が米大統領の座にあること自体が、世界の安
全保障にとって最大の危険要因なのである。
6月20日の発言は、「時と場合をわきまえない」典型
で、2月に予定されていたブリンケン国務長官の初訪中
が、中国の偵察気球を米軍部が“撃墜”した騒動の影響
で延期となったのを、4カ月かけてようやく関係を再構
築し、同長官が18日に北京入り、19日に習近平と会談し
たその翌日である。中国側も中米対話再開を歓迎し、国
家主席が外相と会談するという異例の待遇をした。そこ
を汲んで、米中関係を上手く軌道に乗せていくため細心
の注意を払って次の手を打つのでなければならないその
タイミングで、わざわざ習を独裁者呼ばわりして揶揄す
るとは、「頭がおかしい」と言われても仕方のない愚行
である。
●「対話」基調に舵を切ったはずなのに
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