久米信行(裏)ゼミ「大人の学び道楽」
授業や講演では話せないこと。連載やSNSでは書けないこと
毎月第1-4 火曜日発行 vol.145 2023/08/15発行
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ホックニーや牧野富太郎と植物を愛でる夏休み
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2. 大人のミュージアム&庭園
夏休みは「植物と歩く展」「デイヴィッド・ホックニー展」で涼む
夏休みに入って、なぜか植物を愛でる二つの展覧会に引き寄せられてしまいました。
1) 「植物と歩く展」牧野富太郎の植物画と標本に出逢う
例によって「ぐるっとパス」の無料特典を使って、練馬区美術館で「植物と歩く展」を観てきました。「植物と歩く」という名前に惹かれたのです。ポスターや、館内を彩るバナーも素敵でした。
「植物と歩く」とはどういうことでしょう? 植物は一つの場所に留まっていながらも、根は地中に、茎や葉は地上に伸びて這(は)い広がり、花をひらかせてはしぼむ、その一生は動きに満ちています。本展では、「植物と歩く」という言葉に、植物の営む時間と空間に感覚をひらき、ともに過ごすという意味を込めました。作家は植物を観察しその特徴をとらえようとするなかで、普段わたしたちが気づかずに通りすぎてしまうようなその意外な姿に迫り、自身の思いを重ねてイメージを作りあげるのかもしれません。
本展では当館のコレクションを中心に展示し、植物がどのように作家を触発してきたかを探ります。コレクションからは、画面をおおい尽くさんばかりに増殖する植物の生命力を描いた佐田勝の油彩画とガラス絵、花が散る瞬間を写実的かつ幻想的にとらえる須田悦弘の木彫、水芭蕉を生涯のモチーフとした佐藤多持の屏風や、約3mの大画面に樹木を描いた竹原嘲風の日本画などを展示します。コレクションに加えて、植物学者・牧野富太郎による植物図と植物標本や、倉科光子による種と芽吹きの両方の時間を記録する絵画を紹介します。
皆さんも、実在の植物から想像上の植物まで、美術館に集まった魅力あふれる植物たちとともに歩いてみませんか。(練馬区立美術館 公式サイトより)
この美術展は、同美術館が収蔵する植物に関する作品を集めたコレクション展です。中でも、私が惹かれたのは、NHK朝ドラ「らんまん」で話題の植物学者 牧野富太郎さんが描いた精密で美しくレイアウトされた植物画。
牧野さんは、子どもの頃から植物を盲愛して標本を収集し植物画を描き、小学校しか出ていないのに私塾で洋書を原語で読破した「緑の手を持つ天才」です。ところが東京大学で心が狭く能力も植物愛も無い教授に嫉妬され、活躍の芽を摘まれます。
朝ドラを観ている人なら、激怒し涙なしでは見られないエピソードが嵐のように続くのですが、その牧野さんが東大で出版した植物画が展示されていて感動するのです。そればかりか、自ら採集した標本まで、、、。
他にも、素晴らしい植物由来の作品が集められていて紹介しきれません。エアコンのよく効いた植物を愛するアーティストの愛がつまった植物園に遊びに来てください。(8月25日まで)
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