Be ambitious

ドクター畑地の診察室205.2023.8.20. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います！おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者（肺癌、喘息、COPD、肺炎など）を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説＆ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信！ https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身　自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け！radioを聴いてらんらんらん（lung lung lung）」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ Be ambitious 　私が大学を卒業して、医師になったのは1991年です。当時、海外旅行をすると、どの国に行っても日本より物価が安く感じたものです。ところが、今海外に行くと、どの国に行っても物価が高く感じてしまいます。ちなみに、学会参加費は、国内のメジャーな学会でせいぜい2万円までですが、国際学会ですと、10万円を超えることも珍しくありません。 　色々な理由があると思いますが、根本的には、若年者の人口が減少し、日本の国力が低下、世界の先進国の中で、日本のみ、物価も給料も上がらなくなったことが大きな理由でしょう。今のままいくと、今後ますます、世界との格差が開いていくような気がします。 　研究においても医学臨床においても然りです。日本人はプライドを捨てきれず、まだアジアで一番優れた科学技術がある、医学臨床において1番優れていると思っているかもしれませんが、果たしてどうでしょうか。例えば、つい先日発表された「質の高い論文数ランキング」では、世界1位が中国、2位がアメリカで、日本はなんと12位のイランに次いで13位、アジアの中でも、中国は別格として、インド、韓国、イランよりも劣っているわけです。30年前には考えてもみなかったことで、我々は、このまま何も手を打たないと、どんどん状況が悪くなってしまう、日本はもはや先進国でもなんでもないことを理解すべきだと思います。 　小さい時、色々な目標を立てました。例えば、「１日5時間勉強して学年で1番をとる」とか、「部活動（柔道部でした）の練習を行なって、地区でベスト3に入る」とか言った目標です。私事で申し訳ありませんが、残念ながらそのような目標は叶えられたことがありません。しかしながら、目標に向かって努力することによって、1番にはならないものの成績が上がったり、ベスト3には入れなかったものの勝つことができるようになりました。多くの掲げた目標は叶えられません。ところが、それに向かって努力することにより、ある程度の成果は得られるわけです。残念ながらその成果は多くの場合、目標よりも低いものになることが一般的です。高い目標を掲げないと、成果が上がらないことを認識しないといけないと思います。 　さて、人口減少時代、我々地域の病院に課された役割は「地域の医療を守る」ことです。しかしながら、日本の勢いが衰えていく中で、それのみに固執することが質の高い医療を守っていくことにつながるような気はしません。「地域の医療守る」ことを目標として掲げる場合、地域の医療を守っていくことができないような気がします。少なくとも、そんな中で、胸を張って、「日本の医療を支えて、県外からも患者が来るような病院にする」位の目標を掲げないと、松阪市民病院のような弱小病院は「地域の医療を守る」ことができないような気がするわけです。 　目標は高く掲げたいと思います。最低条件としては、地域の医療守ること、これは必須です。何よりも最優先されると思いますが、それだけを掲げていたら、我々のモチベーションが萎えてしまいます。我々にしかできない医療、日本でも誇れる優れた医療が実践できるよう、また優れた臨床データを世界に発信するよう、我々松阪市民病院は頑張っていかなければいけないと思っております。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ ドクター畑地の診察室205.2023.8.20号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 次号は2023.8.27.です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身　自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け！radioを聴いてらんらんらん（lung lung lung）」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください！ ◆2023年07月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2023/07 2023/07/30 猛暑 2023/07/23 COVID19で人口は減るのか 2023/07/16 直木賞候補作品全部読んでみた 2023/07/09 気胸