【恋の奇跡】
「きんちゃん、いらっしゃい」
みつおは、ほぼ毎日飲みに行っていた。
遅い時間に行き、ビール2本で粘ってラストまでいるのだった。
カラオケは店が出してくれるので、毎日2,000円で飲んでいるのだった。
借金を返しても充分に残るので、ほとんど飲み代に変わっていくのだった。
毎週、土日は浅草に通って、場外馬券場で競馬をしていた。
穴狙いなので、朝から行ってもなかなか当たらないが、当たる時は大きかった。
月に一回は万馬券を当てていたので、トータルではプラマイゼロくらいだったが、当たった日は店でみんなに奢って使ってしまうので、結局はマイナスだった。
しかし、それが楽しくて競馬と飲み屋を続けていたのだが、事件が起こったのである。
「きんちゃん、ちょっと待っててね、稲葉さんと話が終わったら来るからね」
それは、フィリピン人のホステスだった。
別にフィリピン人が好きなわけではなかったが、話をしているうちに気が合ったのだった。
彼女は遠くフィリピンからきていたが、みつおも沖縄から海を超えてきているせいか、遠くから下町にきているという共通点で話が合い、話せば話すほど、気持ちが分かり合えるようになっていたのだった。
沖縄の話をすると
「えっ?フィリピンも一緒よ、みんな余った食べ物を知り合いに配るのよ」
と喜んでくれた。
それが楽しくてその店に通うようになっていたのだが、気がつくと…
仕事中でも食事中でも彼女の事を考えてしまっている自分がいた。
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