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習近平「ご乱心」 経済対策見送り 住宅不況が金融危機へ波及「ゾッとする結末」

勝又壽良の経済時評
  • 2023/08/21
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バブルの夢破れ地方惨憺 すでに全身へ害毒が回る 神格化と無謬論で命取り GDP成長率は急減速へ 中国経済の現状は、人間に喩えれば全身に病状が広がっている状況である。住宅バブルによる地価暴騰が、中国経済全体の調整機能を狂わせてしまったからだ。1998年、住宅の私有化を認めている以来、一大住宅ブームが巻き起こり、地価高騰が地方政府に膨大な歳入増をもたらした。それが、道路建設や市街地開発の資金源になった。こうした環境整備が、さらなる地価高騰を生み、地方政府へは膨大な税収が転がり込んだのである。 この「曲芸」が実現したのは、土地国有制によるものだ。前述のような現象は、「土地本位制」(学術用語でない)がもたらした結果である。地価高騰が、永遠に続くという非現実的な前提に立って、中国経済を動かしてきたのである。この結果、固定資産税(不動産税)や相続税は存在しないという「金持ち天国」が出現した。富める者はますます富む、共産主義を標榜する国家ではあり得ないことが起っている。紛れもなく、「人民を裏切る」政策である。 バブルの夢破れ地方惨憺 甘い夢は、永遠に続くはずもない。ここ2年間、本格的な住宅不況が始まった。住宅が売れなければ、住宅用土地も売れない。さらに、この間のゼロコロナ対策によって、地方政府の防疫費用が莫大な金額になっている。地方政府の懐事情は火の車になった。最近、中国政府は財政困難な10省への緊急財政調査チームを送る騒ぎである。地方公務員の給与未払いのほかに、地方政府が資金調達してきた機関である「融資平台」で、債務を返済できなくなるなど厳しい事態に陥っている。 住宅不況は、すでに中国恒大集団の経営危機を表面化させた。最近は、ニューヨークで外債の元利支払いをめぐる破産申請をする事態にまで追込まれている。中国恒大の場合、野放図な経営という背景もあって同情はない。 ただ、不動産開発大手の碧桂園のデフォルト危機は、中国の信用危機に直結するという指摘がされている。碧桂園が、中小都市で暮らす人たちへ「最上級の生活」を提供すると約束し、誠実に事業を拡大してきた。「薄利多売」をモットーにしており、多くの消費者から支持を受けてきたことが、逆に地方経済悪化によって経営苦境に立たされる原因になった。地方経済疲弊が、もたらした碧桂園危機であるのだ。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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