ビジ選☆リーダーズ Vol.1011『替えがきかない人材になるための専門性の身につけ方』（国分峰樹）

■専門性の身につけ方が武器になる ビジネスパーソンは、環境変化に適応していくべきだ。中でも決定 的な変化は、これからは従業員でなく、ビジネスのプロとしての意 識と存在意義が問われることだ。 これからは、ビジネスパーソンも仕事の結果に全責任を背負い実力 を磨くプロとしての自覚を求められる。プロがしのぎを削る激戦区 をどう生き抜くかが課題だ。 これまで日本のビジネスパーソンは、専門性がなくても、それなり の会社員人生が歩けた。だが、グローバル競争が激化する中、日本 企業の国際競争力は低下し続けている。 今までと同じ意識のまま、ジェネラリストとして会社の中でうまく やっていけば生きていけるような時代は、いよいよ終わりを迎えつ つある。 そんな環境下で自分らしく、前向きに生きていくには、自己革新が 必要だ。キーワードは専門性だ。既存の専門知識をインプットする だけでなく、新たな専門知識をアウトプットできる力が必要だ。 希少価値のある専門性を身につければ、企業から求められる人材に なれる。活躍するチャンスやフィールドが広がる。専門性を差別化 し、専門性で戦えるビジネスパーソンになるべきだ。 ★ 専門性を身につけようと思ってもなかなか身につかない。新たな専 門分野は次々登場し、仕事で求められる専門性は高度化し、移り変 わりも加速している。中途半端な専門性では稼げない。 専門性が身につかないのには理由がある。「すぐ役立つ知識ばかり 吸収しようとする」「年収アップのために勉強する」「実績や経験 に価値を置く」「仕事に直結する分野しか目に入らない」などだ。 このパターンにハマらず、本当の専門性を身につける近道は、専門 性の身につけ方を知ることだ。専門性を身につけるスキルが重要な のだ。これは、自己啓発や勉強法のビジネス書では身につかない。 専門性の身につけ方は型化されている。新たな専門分野が次々出て くる知識社会で、ＡＩに取って代わられないレベルの専門性を、よ りスピーディーに習得するには、この型の習得が重要なのだ。 ★ 専門知識という形より、専門性を身につける型を身につけることが 大切だ。形と型は同じでない。具体的に形になって現れるものの土 台に型がある。様々な用い方の結晶のようなものだ。 様々な経験が蓄積され、試行錯誤を繰り返すうちに、無駄なものが なくなって、機能性・合理性・安定性をもつようになる。それが型 になる。そうして洗練されてできあがった型にこそ再現性がある。 これを踏まえて、専門的な知識を生み出すということを繰り返し行 うのが大学の研究だ。はるか昔から専門性を追い求めてきたやり方 は、長い歴史を積み重ねて「型化」されているのだ。 ビジネスパーソンが研究に打ち込む必要はない。だが、専門性を身 につける「型」を知れば、専門性の移り変わりが速い時代に適応す るためのスキルを習得することができる。 ★ ビジネスパーソンが「型」を学ぶことで、自分の仕事で「ビジネス の新たな価値となる知識」すなわち「ナレッジ」を創造できるよう になるはずだ。 現代のビジネスパーソンは、自分の頭を使って仕事をしている。そ して顧客や社会に対する価値を生み出すことが求められている。つ まり、専門性とは「知識創造」に関わる活動のことだ。 新たな価値となるナレッジを生み出せない人材は、これから茨の道 が待ち受けていることが予想される。だから専門性を身につける型 を習得するのだ。これで「無用者階級」落ちを避けることができる。 チャレンジ精神を無くして組織のなかで停滞してしまうことなく、 定年退職後も自分の専門性を活かして活躍できる人材になるべきだ。 そのために生涯使える専門性の身につけ方が強力な武器になるのだ。