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感想は「小並感」でも構わない。その先を深められるかどうかだ 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.770

佐々木俊尚の未来地図レポート
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 佐々木俊尚の未来地図レポート     2023.8.28 Vol.770 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.pressa.jp/ 【今週のコンテンツ】 特集 感想は「小並感」でも構わない。その先を深められるかどうかだ 〜〜〜SNS時代の「日本語の作文技術」について考える(第4回) 未来地図キュレーション 佐々木俊尚からひとこと ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■特集 感想は「小並感」でも構わない。その先を深められるかどうかだ 〜〜〜SNS時代の「日本語の作文技術」について考える(第4回) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 小並感(こなみかん)というインターネットのスラングがあります。「小学生並みの感想」の略で、幼稚な感想のこと。他人の感想をバカにするために使うのではなく、どちらかといえば自分が抱いた幼稚な感想を自虐的に表現するときに使われることが多いようです。 とはいえだれしも人間が脊髄反射的に抱く感想なんて、スタートはたいていは小並感です。よほどその分野に精通している業界人や専門家でなければ、知らないジャンルの話題に直感的に高度な感想を抱ける人なんていません。 大事なのは、小並感を小並感で終わらせないこと。小並感からスタートしても大丈夫なので、その先に思考や分析を深めていけるかどうかです。 第一歩としては小並感。次の第二歩として、小並感を素因数分解してみましょう。前号でも解説しましたが、数学でいう素因数分解とは「ある整数を、素数のかけ算の形で表すこと」。これを文章を書くことにも応用し、その文章のテーマや自分の素朴な感想、疑問などを、それ以上細かくできないぐらいにまで分解してみるということをわたしは提案しています。 身近なテーマで、素因数分解の事例を考えてみます。以下は2022年7月8日に、わたしがイタリアン料理店の「サイゼリヤ」について発信したツイッターの連投です。きっかけになったのは以下のまとめ記事です。 ★定期的にサイゼリヤが炎上に巻き込まれて完全勝利する流れ、お馴染みすぎて回し者が炎上させている説 https://togetter.com/li/1904993 「またもサイゼリヤ論争が盛り上がってるようですが、『人間的な食なるものを期待することはない。それなりに食べられるものもあるとは思いますし』というのはサイゼリヤの食への誤解がちょっと過ぎるかなと感じます」 「わたしは過去に料理本を2冊マガジンハウスから出していて、以前はさんざん美食していた経験もあるので、サイゼリヤの味について多少の言及はできるかと思うのですが、サイゼリヤは決して『貧困な二級の味』というようなものではない」 「先日もこのVoicyで語ったのですが、コンビニやファミレスの多くの味が『一般的な美味しさを求めて最適化されすぎている』のに対して、サイゼリヤは最適化されてない素朴さを持っているところが持ち味だとわたしは感じています」 ★「サイゼリヤとセブンイレブンの美味しさの違いを考える」 https://voicy.jp/channel/2185/345916 「たとえばセブンイレブンのスイーツとかお総菜『金の』シリーズにはすごく美味しいんだけど、最適化されすぎてて驚きがない。それに対してサイゼは最適化されていない、言ってみれば『田舎のおばあちゃんの味』的なフックがある。たとえば生ハムのプロシュートは塩がちょっときつく感じたり、フライドポテトはガリッと焦げてたりする」 「日本の家庭料理であるお味噌汁とかお総菜で言うと、たとえば煮干しをちょっと出しすぎな味噌汁とか、ちょっとからくて茶色すぎる煮付けとか、そういう風合いがあるんですよね」 「サイゼの食材は大量買い付けによる素材の良さと、その素材をあまり最適化しないでおばあちゃん味つけで出してる感じが好感を持てるのです。以前、3週間ぐらい滞在したイタリアで食べてた大衆食堂の味に近いなあといつも思う」

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