偽りの繁栄に重い代償
諸悪の根源は習近平氏
国民が最大の被害者へ
データの示す異常国家
習近平国家主席は、例外である3期目の就任を実現した。中国経済に大きな混乱を生む原因のすべてはここから始まっている。現在、「無理が通れば道理が引っ込む」の喩え通りのことが起っているのだ。
習氏は、2012年に国家主席に就任以来、一貫して3期目を目指していたことは明らかである。それには、GDPを意図的引き上げて習氏の業績とすることである。その結果、不動産バブルを引き起こして収拾がつかない事態を招いている。この不動産バブルは、最終的に家計へしわ寄せしており、可処分所得の100%以上が消費者ローン負担という想像もできない事態へ突入している。この点が、日本の平成バブル崩壊と大きく異なる点だ。
前記データは後で示すが、胡錦濤政権時では可処分所得の消費者ローン負担を50%未満に抑えて家計にゆとりを残す配慮をしていた。習氏は、GDPを押し上げる目的で消費者ローンを、不動産値上がりのテコへ100%使ったのだ。それが、習氏の終身国家主席への近道と判断したのであろう。習氏の唱えた「中華の夢」は、家計を犠牲にした「あだ花」であったのである。
この独りよがりの「中華の夢」は、花咲くどころかしぼむリスクが大きくなっている。不動産バブル崩壊が招いた景気失速によるものだ。不動産バブルという「不条理な種」は、中国経済を混乱の坩堝に陥れ、再起不能なまでの打撃を与えるであろう。それが、世界のバブル崩壊の歴史が示す史実でもある。ただ、例外が一つある。1929年の世界恐慌を引き起こした米国が再起したことだ。これは、果敢にイノベーションへ取組んだ成果である。現在の中国は、「閉鎖経済」を志向している。米中対立で真逆の道を進んでいるのだ。
偽りの繁栄に重い代償
中国が、GDP世界2位になった2010年は、生産年齢人口(中国の場合15~59歳)比率がピークになった年である。中国は、この年を境にして生産年齢人口比率が右肩下がりの状態になった。これは、「人口オーナス期」と呼ばれる状態である。潜在成長率が、低下するというのは世界共通の認識である。習氏は、これに逆らって不動産バブルをたきつけ、家計の可処分所得のすべてをローンで吸い上げるという「暴挙」を行った。
この禍根がどれだけ大きいか。後に尾を引くかは、説明するまでもないであろう。家計の可処分所得が、ローン支払い後ゼロの状態ではモノを買う余力がないのは当然である。現在の消費不振は、すべてこれで説明がつくであろう。
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