【只今、失恋中】
「みっちゃん、どうした元気ないな」
「あ、うん、ちょっとな」
「なんだよ、気になるな、友達だろ、話せよ」
「うん、後で話すよ、今は心が壊れそうで話せないよ」
「そっか、じゃ後でな」
みつおは、息をするだけで精一杯だった。
呼吸をするたびに、空気が心をズタズタに刺していくので、そっと静かにゆっくりと呼吸をするようにしていた。
ましてや、話など無理に決まっていた。
何も考えないように呼吸に集中し、静かに心が騒がないように忍び足で歩いているような感じで、忍び呼吸をしていたのだ。
人生でこんなに心が痛いのは初めてだった。
あまりにも痛すぎて、過去を思い出さないように前を向いて静かに虫の息で過ごすしかなかった。
この世の終わりなんて生ぬるいものではなかった。いっそのことこの世が終わって地球が消えて無くなった方が幸せである。
この状態で後何年生きればいいのだろうか?
かと言って死にたいという気持ちもなかった。
そんな気持ちになるゆとりがなかった。
そう、死にたいと思っている人はまだ死にたいと思えるゆとりがあるのである。
それを超えると、死にたいと思うことさえ生ぬるいものである。
死にたいという気持ち以上に辛い気持ちが世の中にはあることを初めて知ったのだった。
とにかく、何も考えたくない、いっそのこと記憶喪失になりたいと切実に思いながら、夜を過ごし眠れない状態と睡魔がケンカをしているのだった。
しかし、サトシには毎日寮で会うので、ずっと黙っているわけにはいかなかった。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)